つい最近になってフルサイズ機(Panasonic S1R)を購入したのですが、なんとSDカードではなく「XQDカード」とSDカードという変わった仕様になっていました。
大体のカメラではSDカードで事足りるので名前すら聞いたことがない人もいるかと思います。ですがこれからプロのフォトグラファーを目指す方は知っておいたほうが良いです。
プロが使うフラッグシップ機だとよく見かけるので、今回はXQDカードについて解説します。
目次
XQDカードとは?
XQDカードはSDカードと同じくメモリーカードです。なので簡単に言えばSDカードの仲間です。データ保存する時に使うものだと思ってもらえれば大丈夫です。
左がSDカード、右がXQDカードです。真正面から見るとちょっとデザインが違うかな程度ですが厚みを見るとその違いがよくわかります。
実際スロットも全く違います。間違えて入れてしまうことはないでしょう。
2010年からあるもので、メーカー側が積極的に取り入れてなかったこともあってあまり知名度は高くありません。一般的に使われるものではなく、プロ向けといった感じです。
何かと小型化が進んでいる現代であえてちょっと大きいものが出てきていますが、それでも選ばれるのには理由があります。
圧倒的な読み書き速度
SDカードも高いものを買えばとんでもない速さが出るようになってきていますが、XQDカードはそれを超えてきます。SDカードだと現在では速くても300MBくらいです。
300MBでも相当な速さですが、XQDは400MBです。更に100MB速いのが基本スペックです。最高ランクで400MBではなく、基本レベルで400MBです。
先程の比較写真を見てみましょう。表面に速度が書かれています。
さすがに300MBのものは使っていないので少し速度は劣りますが、それでもSDカードではかなり高速です。正直仕事に影響のないレベルの速さをしています。
XQDの最高スペックになると書き込み速度が1Gbpsに達するそうです。秒速125MB、10秒あればちょっとした動画だったら転送が終わっています。RAWデータもちょっと席を外して戻ってきたら終わっているくらい速いです。
実際に700MB程度だったらちょっと目を離した瞬間に終わっているくらい速いです。700MBと70MBを見間違えたか?って思うくらいの速さです。
ちゃんと純正のカードリーダーを使ったから、というのもあるかもしれませんが比べ物にならない速さでした。
プロ向けとして販売されていますが、このレベルの速さが要求される現場となると新聞記者とかそういう現場を想像します。少なくとも、そこまでのスピードを要求されるようなことがない撮影であればここまでの速さは不要でしょう。
カードリーダーも必要
最初の画像のように厚さがSDカードとは違っているので、専用のカードリーダーが必要です。SDカードもXQDカードも扱えるカードリーダー(速度もちゃんと出るもの)はなかなかありません。
サードパーティ製もたくさん売っていますが、出来れば純正を使いたいところです。速度が出ないだけではなく、一番怖いのが高いほうが壊れる(この場合だとXQDカード)可能性もあるからです。
悲しいことにこういう時は高いほうがよく壊れます。
たとえ壊れなかったとしても、それなりの速度が出なければもったいないです。
例えばSDカードが300MB出るものだったとしても、肝心のカードリーダーが50MBしか出ないようなものだったらSDカードの性能が全く活かされてきません。
高くなりますが純正品を使うと安心+速度も出るので、趣味で使うならまだしも仕事で使ったりプロを目指すなら純正品も視野に入れましょう。
使えるカメラは限定的
XQDカードをあまり聞かない理由として一番に挙げられるのが対応しているカメラ機種の少なさもあります。価格も性能もプロ向けなのでプロ以外の人の目に触れる機会があまりにもないってのはありますが、そもそも使える機種が少ないです。
一応プロ向けとして販売されているカメラであっても、対応カードがSDカードのみってことは多々あります。Lumix G9もフラッグシップ機として扱われていますが、対応しているのはSDカードです。
Web掲載系の写真撮影とかA4サイズ印刷までの仕事だったらG9でも余裕でこなせます。
使う機会がなければどれだけ高性能だったとしても、人の目に触れる機会が少なければ認知度は上がりません。だからこそ、知らない人が多いんだと思います。
なので「高性能だったら買おう」と思って買っても「使えるかどうかは別問題」ということは覚えておきましょう。どちらかといえば「XQDカードしか対応してなかったから買わざるを得なかった」が多いと思います。
カメラが先、カードが後、です。
高性能だが高価
XQDカードはものすごく高性能ではありますが、容量が小さくても非常に高価です。安価なSDカードに慣れている人からすれば理解し難い価格になっています。
実際に軽く調べて見ました。2022年1月22日時点のデータなので、多少変動はあるかと思います。
転送速度:SDカードは300MB、XQDカードは400MBとします。
容量 | SDカード | XQDカード |
32GB | 6,300円~11,680円 | 9,000円~10,000円 |
64GB | 11,000円~12,000円 | 11,780円~15,400円 |
128GB | 13,000円~30,000円 | 20,000円~27,500円(120GB) |
メーカーの違いとか売っているお店の違いで幅はありますが、なるべく近いレベルのもので比較すると大きな差がでない事がわかりました。
ちなみに安いSDカード(128GB 転送速度170MB)だと4,000円くらいで買えます。XQDカードと容量同じもので比べたらSDカードが5枚買えます。SDカード5枚分=XQDカード1枚分の価格になります。
速度が2倍近く違うってのはありますが、それでも5倍の価格差はかなり大きいです。ですが個人的に170MBだと連射したり4K動画撮ると保存にすごい時間がかかってしまい、撮影が止まってイライラしてました。
その結果、SDカードで300MBに乗り換えました。300MBだと許容範囲かなってくらいの速さになります。それ以上となるとSDカードよりXQDカード買って対応してるカメラ買ったほうが将来的に「あの時買ってよかった」と納得できると思います。
最後に
XQDカードは10年以上前から現役で使われているにも関わらず、まだまだ知名度が低いです。高性能なのは明らかですがまだまだ普及していない(一般的に使えない)ことを考えると無理して使うものではないと思います。
SDカードにするかMicroSDにするか選べないように、使えるものがXQDカードしかなかったからそれにした、のパターンが多いはずです。MicroSDはSDに変換することも出来ますが、XQDカードはSDカードより大きいので逆に小さくすることは無理でしょう。
プロを目指すのであれば持っているかどうかは別として、知識としては入れておきましょう。依頼主側が何も知らないとか限らないどころか、趣味でやっていて知っている人もいるかもしれません。
あくまで趣味であって仕事ではないからプロに依頼している、という考え方の人もいます。それなのに依頼したはずの「プロ」が知らないとなると仕事を任せていいのか疑問を抱かれます。
もし今後カメラを買い換える予定がある人は、そのカメラが何に対応しているのかを確認してから購入するようにしましょう。
確認せずに買うと予想外のXQDカード代とカードリーダー代で一気に持っていかれることになります。