23
1月
カメラの基本設定の1つである、ISO感度についてです。
写真を撮るために最低限必要とされている設定は3つあるのは2-1でご紹介したとおりです。
今回はその1つであるISO感度について学びます。
最後に練習問題を用意していますので、実際に撮影してみましょう。
撮影したファイルを送信いただければ講師によるフィードバックも受けられます。
詳細は最後にまとめて記載していますのでそちらをご覧ください。
ISO感度とは?
ISO感度は3つの設定の中では最も単純かつ設定値を頻繁に変えることがない設定です。
読み方はアルファベットそのままで「あいえすおーかんど」又はローマ字読みで「いそかんど」です。
人によって呼び方が違いますが、意味は同じです。
ISO感度は明るさにだけ影響します。これが他の設定との大きな違いであり特徴です。
ISO感度だけを変えても背景のぼけ具合は変わりませんし、被写体がぶれるのを抑えることも出来ません。
F値やシャッタースピードのように何かと明るさ、というわけではなく単純に明るさだけです。
この点については他の設定と比べて非常にわかりやすいです。
そのため、頻繁に設定を変えることがなく一度設定してしまえばその撮影場所ではほぼ固定化出来ます。
ただしISO感度は上げすぎるとノイズが発生します。
ISO100の写真とISO12800の写真を見比べてみましょう。低すぎると見えないので見える程度の明るさにはしています。
ISO100の写真
ISO25600の写真
どの程度まで上げるとノイズが発生するか、はカメラの性能次第です。
ISO800でノイズを感じることもあればISO1600でもほぼノイズがないのもあります。
更に明るさにしか影響しないこともあって、ISO感度は低めがいい(最低値+1~2段階上)と言われています。
撮影時には基本的にISO感度は低めからスタートして、ISO感度が決まったら撮影中に変えることは殆どありません。
特に屋内であれば天候に左右されることもないので、ISO感度の設定を忘れてしまうほど触らなくなります。
ISO感度を低めから始める理由
ISO感度を低めから始める理由としては、ノイズが最大の理由です。
高ければノイズが発生するのと、明るさにしか影響しないので優先順位が最後になる設定です。
F値とシャッタースピードを触れば明るさも変わるので、殆どの撮影はこの2つで何とかなってしまうのです。
逆にISO感度をある程度高めで設定していると、今度は明るさが問題になってきます。
ノイズが発生しない程度の高さであっても、結構な明るさになってきます。
特に朝~昼頃に屋外で晴れの日に撮影する場合、ISO感度を最低値にしても十分な明るさを確保できるくらい明るいです。
ISO感度を上げる理由がなく、むしろ下げないと写真が真っ白になったり白飛びする可能性があります。
天候が曇りだったり夜になってくれば暗くなるので、ISO感度を上げざるを得ないですがそうなるとノイズの問題が出てきます。
どの程度でどれくらいノイズが出るのか、許容範囲かを知るには最低値から徐々に上げていって撮影して見るしかありません。
最も最適な数字を知るためには、低い数字からちょっとずつ上げていくのが一番です。
これはISO感度に限らず、色々なところで役立つ基本でもあります。
ISO感度を変える時
ISO感度を変える時というのは基本的にF値とシャッタースピードで調整できない(したくない)時です。
F値とシャッタースピードはこれでいい、けど明るさが足りないという時に使います。
例えば昼~夜にかけて撮影し続けているとF値を低くして開放にしても、気付いたら結構暗いってことがあります。
場所によっては本当に数分で真っ暗になることもあり、F値は限界でシャッタースピードも限界ということも多々あります。
そういった状況ではISO感度を変えて、明るさを確保します。
機材を活用して明るさを確保することも出来ますが、常に周りに電力が確保できる環境とは限りません。
真夜中で機材で明るさを確保する、というのは本当に大掛かりな機材が必要です。
そうなったらISO感度を上げてある程度明るさを確保して、最悪の場合は後から加工で明るさを上げていく方法も使います。
それでもISO感度を変える頻度は結構少ないです。
かといって触らないでいると存在そのものを忘れてしまって、F値とシャッタースピードだけで何とかしようとしてしまう状況もありえます。
触らないと覚えないし忘れます。
なので通常は変える必要はないがあえて変えてみる、ということもたまにやってます。
3つしかないのに忘れるか、と思われるかもしれませんが結構忘れます。
忘れないためにもわざと触る、設定を変えるということもします。
集合写真を撮るときにもISO感度を上げる必要性が出てきます。
ISO感度を上げるメリット
ISO感度を上げるとノイズが発生するのでなるべく高くしたくないところですが、上げることでのメリットもあります。
単純に明るくなる、というだけではなく明るくなるということは他の設定で明るさを気にしなくていいことになります。
シャッタースピードを早くしたり、F値を上げる(絞る)事が可能になります。
シャッタースピードをもっと早くしないと被写体の動きが早くて止まらない、という時にシャッタースピードを早くすると単純に今度は明るさの問題が出てきます。
かといってこれ以上開放にしたくない、値は変えたくない場合に明るさを稼ぐとなるとライトとかの機材を使うか、ISO感度を上げるかです。
上げすぎるとノイズが出てしまうので程々に、ではありますが屋外とかでは非常に重要です。
例えば風景写真とかで全体を綺麗に撮影したいが三脚がない場合、シャッタースピードをある程度遅くする必要があります。
常に三脚が使えるわけではなく、スペース的な問題で物理的に三脚が使えない場合もあります。
手ブレしないギリギリのシャッタースピードを把握していれば、設定が1つ1つ決まっていくので自然とISO感度も決まります。
集合写真も同様で、全員の顔をぼかさずに綺麗に撮るとなるとF値を上げるしかないので明るさが不足します。
かといってシャッタースピードを遅くしすぎると誰かしら動いてしまい、ブレる人が出てきます。
子供の集合写真か大人の集合写真かで変わってきますが、ある程度の早さのシャッタースピードは必要になってきます。
その状況で明るさを確保する、となるとISO感度を上げるのが一番簡単です。
迷ったらオートで撮る
ISO感度の設定は最初のうちは適切な数字が全くわからず、真っ白な写真になってしまうこともあります。
どうしても設定がわからない、という場合はISOオートを選びましょう。
ISOオートで撮影すると、カメラが自動的に明るさを調整してくれるので考える設定が1つ減ります。
ちなみにISOオートは大体のカメラで上限を決めることが出来ます。
例えば3200を上限した場合は、自動的に設定される最高値が3200になるのでノイズの発生しすぎを防ぐことが出来ます。
これを決めなかった場合、ISO12800とか25600といった普通設定することがない値に達することもあります。
通常ここまで上がることはないですが、他の設定値次第ではありえます。
また、明るさが全然違う環境に頻繁に行き来するような撮影環境ではISOオートのほうが良かったりします。
そんな環境があるのか、と思われるかもしれませんが自室からキッチンへ移動してみるとよくわかります。
たったこれだけの移動でさえ明るさが変わってくるのと、環境によってはISO感度を2~3段階も変えないといけないことがあります。
F値はほぼ固定としても、シャッタースピードはだいたい触ります。
更にISO感度も頻繁に触るとなると結構な負担ですので、ISOオートでシャッタースピードに集中するということが出来ます。
あとは単純に設定を2つ同時に変えていると、余裕がなくなって撮影自体が少し適当になってくる点もあります。
最初はまず撮影自体に慣れることが大事なので、設定するべき項目を1つでも減らせるのは大きいです。
オートで撮るのは良くない、と言う話もありますがオートでしか撮れないのが問題であり必要に応じてオートを選ぶ事も大事です。
まとめ
まとめです。
・ISO感度は明るさにしか影響しない
・ISO感度を上げすぎるとノイズが発生するので上げ過ぎ注意
・ISO感度は低い数字から始めていくのが良い
・迷ったらISOオートを使う。ただしオートでしか撮れない、というのはNG
ノイズもどの程度まで許すか、はその人の匙加減ですので一概にこの数字までならOKというのは出せません。
個人的にはISO3200あたりから結構ノイズが目立つので、基本的には800~1600で抑えています。
練習課題
今回はISO感度に特化した説明をしました。
通常は3つの基本設定すべてを組み合わせて撮影するのですが、まずは1つ1つ覚えることが大事です。
今回学んだことを実際に理解できているのか、確認用として以下の課題をご用意しました。
課題の取り組み、提出は任意ですが提出することで講師からのフィードバックを受けられます。
課題1.ISO感度を最低値に設定して撮影してみよう
ISO感度を最低値にして、撮影してみましょう。
当然ながらそのままでは真っ暗になってしまうので、F値とシャッタースピードをうまく活用して明るさを確保しましょう。
課題2:ISO感度を一番高い数字にして撮影してみよう
今度は逆にISO感度を一番高い数字にしてみます。
屋内であれば夜に部屋の電気をすべて消して撮影するのが良いでしょう。
この2つの課題を実践することで、極端な数字ではありますがノイズが出るということの意味がよくわかります。
課題3:自分の中での「軸」となるISO感度を見つけよう
ISO感度の適切な数字は人によって違いますし、こればかりは実際に撮影して経験してみるしかありません。
自分の中での「最初のISO感度」を決められるように、色々な数字に変えて撮影してみましょう。
ノイズがどの程度までなら許せるか、それさえわかれば撮影環境が変わってもすぐに撮影を始めることが出来るようになります。
見つけたらそのISO感度で撮影してみましょう。
課題の提出について
課題の提出方法はメッセージ機能を使って担当フォトグラファーにファイルを添付して送信して下さい。
ファイル名とファイル形式はそれぞれ以下に変更して下さい。ファイル名が異なりますとどの講座のものか確認出来ず再提出となる場合がございます。
課題1のファイル名:2-4-1
課題2のファイル名:2-4-2
課題3のファイル名:2-4-3
ファイル形式:jpg