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フォトグラファー養成講座, 第3章

3-3.ストロボに使うアクセサリーについて【フォトグラファー養成講座受講者専用記事】

今回はストロボに使うアクセサリーについて解説します。 とりあえずつけとけばいい、の勢いで使っている人も多いですが使うべきかどうかを見極めて使うことは重要です。 全く使う状況がないのに持っていくと、無駄に結構な大荷物になります。   アクセサリーの数は豊富で、ストロボによっては専用のものもあったりするので今回は一般的に使われている物を紹介・解説します。     ストロボのアクセサリーを使う理由 ストロボのアクセサリーを使うもので代表的な物がソフトボックスです。 ソフトボックスは光を拡散させたり柔らかくする効果があり、撮影現場ではよく使われています。 ストロボの光はそのままの直当てだと、結構固めで直線的な光で照らせる範囲も限定的になっています。   これをソフトボックスを使うとここまで変わります。 直当てと違ってきつい光にならず、全体的に均一に光があたっているのがわかります。   実際ストロボの形を見ればわかりますが、四角いものがほとんどです。 大きさもあるので四角いそのまま光らせれば光の範囲も狭いです。 人物撮影で使うには小さすぎますし、光の届く広さも明らかに狭いです。   あれで全身だったり上半身だったりを照らしたいと思ったらすごい大型になるか、数で勝負するか、のどちらかになります。 ですが、巨大なストロボになると持ち運び不可ですし数が多くても持ち運び不可、どちらも現実的とは言えません。   そこで光を拡散するためにアクセサリーを使います。 大きく分類するとソフトボックス・アンブレラの2種類です。   ↓ソフトボックス ↓アンブレラ ソフトボックスは四角い物もあれば円形もあり、それ以外の形もありサイズも様々です。 アンブレラはその名の通り、見た目が傘です。 どっちがいいかはその人次第であり、柔らかさやどれだけ拡散するかも違ってきます。 使っているストロボによっても変わってくるので、一概にどっちがいいとも言えず一通り全部揃えている人も多いです。   アンブレラはスタンドにそのままでは刺せないので、ブラケットと呼ばれる物を別途用意したりアダプターを使用します。   ブラケットにストロボを刺して、そのブラケットをソフトボックスで覆うようにすることで完成します。 ソフトボックスで隠れていて全く見えない部分ですが、このブラケットが重要です。 アンブレラを差し込む穴もブラケットにあるので、ストロボとアンブレラだけ持っていっても何も出来ません。   次は種類を見ていきましょう。     ソフトボックス(四角いタイプ)   この四角いものが一般的にソフトボックスと呼ばれているアクセサリーです。 60cm×60cmですが、大きければ120cm×120cmもあります。 更にグリッドを付ければ拡散を抑えて光を集中させることも出来るので、持っていて損はないです。   グリッドを使うと光の範囲が狭くなりますが、立体感やくっきりとした表現ができるようになります。 グリッドなしの場合は全体を明るく照らすことが出来ます。グリッドがあるかどうかでここまで変わります。   ストロボやカメラの設定は同じにしてあります。 どういった撮影をしたいかによって使うか使わないかが決まってくるので、必要に応じて使い分けましょう。 ちなみにソフトボックス・ブラケットのセット売は多いですがグリッドは別売りが多いです。 グリッド付きも売っていることもありますが、最初はグリッドなしを買って必要性を感じてから買うのも1つです。   ソフトボックスは折りたたみ可能なので、広げれば大きいですが運搬時は結構小さくなります。 ブラケットは折りたためないのでそのまま持ち運びます。   ソフトボックス(円形) 個人的にいつも使っているのが円形ソフトボックスです。 四角いソフトボックスと比べて光が固い、と言われがちですがこれも物によって違うので一概には言えない所でもあります。 円形ソフトボックスの特徴としては円形なので四角いソフトボックスとは違って、光の拡散の仕方も円形です。 そしてレフ板の代用品としても使えます。   個人的に使っている理由の1つが物によりますが、ブラケットが不要です。 ブラケットなしでマジックテープでストロボに固定するので、安定性は落ちますが荷物が減ります。 ちょっとした撮影でなるべく荷物を減らしたい、けどソフトボックスは欲しい、という時に便利です。   ただブラケットがあると後々ご紹介するアクセサリーを使う際に必要だったりするので、そのために持っていくこともあります。 そうなった時はブラケットが必要な円形ソフトボックスもあるので、そっちを使うこともあります。 安定性と大きさと光の柔らかさが圧倒的に違います。   この他にもストロボのヘッド部分にギリギリ入るような小さいタイプもあります。 ただこのサイズになってくると正直なくてもいいんじゃないかと思えるほど、効果が薄いです。 ストロボ最弱パワーでもまだ強い、という時にパワーを落とすために使ったりすることはありますがソフトボックスとして使うのは難しいです。   円形タイプに似た形で八角形のタイプもありますし、縦長タイプもあったり本当に様々です。     アンブレラ アンブレラはその名の通り、本当に見た目が傘そのものです。   ブラケットの小さい穴に刺して固定しますが、向きがかなり重要です。 アンブレラによっては反射させて使うタイプと、光を貫通させる透過タイプがあります。 写真のタイプは透過タイプ、薄いので透けてます。   間違って使ってしまうと、光が殆ど通らないか逆方向に光って全くもって意味をなさない結果になります。 メリットとしては傘なので持ち運びが割と楽です。 折りたたみ傘と普通のジャンプ傘タイプがあり、折りたたみのほうが小さくなっています。   アンブレラのほうが全体を明るくするのには向いていますが、アンブレラとストロボの距離がとても重要になってきます。 距離を間違えたまま使っていると、思うように光が広がらなかったりします。 ソフトボックスの場合は位置がほぼ固定なので、そういった点では安定していると言えます。     スヌート スヌートはソフトボックスとは違い、拡散ではなく逆に集中させるために使います。   写真のように先端にいけばいくほど細くなっていくので、最終的にはストロボの光が一点集中するように作られています。 ブラケットに3箇所差込口があり、そこにスヌートを取り付けて固定します。   人物撮影にも使えますが、どちらかと言えば商品撮影とかに使われることが多いです。 人物撮影で使うと光が圧倒的に集中しすぎるので、顔だけ光を当てたい場合とかなら使えますがシチュエーションとしてはちょっと特殊です。 普段のポートレート撮影とかで使う人はほぼいませんし、今の所見たことがないです。   実際に使ってみた写真がこちらです。 スヌートなしの場合はこうなります。   スヌートがあると光の範囲が限定的になるのでほぼ真っ暗な写真になります。 見ての通り、集中型なので全体に行き渡らないので一部分だけがすごい明るくなってそれ以外の部分は暗いままです。 これをうまく活用した写真もありますが、撮影するものによってはホラーになるので普通にきれいな写真を撮りたいのであればソフトボックスを使うのがいいでしょう。   ちなみにこのスヌートは折りたたみ不可でブラケット必須なので、荷物は結構かさばります。 ブラケットは平面なのでまだいいんですが、スヌートは丸くて厚みがあるのでかばんに入れるとそれなりのスペースを持っていかれます。 普段のスタジオ撮影とかでとりあえず持っていくものではなく、事前に必要な撮影だとわかっている場合じゃないと使うことはないでしょう。   ただ面白いアクセサリーですので、商品撮影とかをする人は持っておくのもいいと思います。     カラーフィルター カラーフィルターはソフトボックスとは全く違うものです。 カラーフィルターはストロボに色付きビニールをつけて、ストロボが光った時に色を付けるためのものです。 種類もいくつかありますが、大体はゴムバンドで止めるかマジックテープでフィルター入れを固定して使うか、のどちらかです。   カラーフィルターを使うと、ストロボの光が当たった部分に色が付きます。 合わせてフィルター1枚通す関係で光量が落ちるのでストロボのパワーを上げる必要があります。 場合によってはホワイトバランスの再調整も必要です。   固定する方法としてよく見かけるのはゴムバンドで止めるタイプです。 マジックテープタイプの場合だと、ストロボ本体にマジックテープを貼り付ける必要があります。 マジックテープ程度ではありますが厚みが増してしまい、サイズギリギリに作られているケースに入らない等の不便なところが出てきます。 かといってマジックテープタイプを取り付けるとこのようになるので、マジックテープがないとストロボに取り付けができません。   それでもマジックテープ式を選ぶメリットとしては、カラーフィルターを後ろのポケットに収納出来ます。 使うであろうカラーフィルターを事前に後ろのポケットに入れたり、不要になった場合にすぐに取り出して収納が出来るので紛失する確率が下がります。 安いからといっても、毎回無くせば無駄な出費になりますし撮影時に必要な色がないというのは致命的です。 その上、一時は販売中止になったり再開したと思ったら微妙に違う商品になっていたりしたこともありました。最終的には元通りになりましたが結構な痛手でもあります。   あとは撮影に入った時に同じ機材を使う人が多数いることもあり、自分のものだとわかる意味でも付けています。 カラーフィルターを付ける上ではどっちでも問題ないので、撮影中にカラーフィルターが落ちることがなければ問題ありません。     ソフトボックスは価格もピンキリ サイズが違えば値段も違う、というのはわかりますがサイズが同じだったとしても値段はピンキリです。 安ければ1000円台、高ければ1万円を余裕で超えてくるソフトボックスもあります。 ですがサイズはほぼ同じ、見た目もほぼ同じ、なのに値段は10倍違ったりします。   実際に安物の円形ソフトボックスと9000円近い円形ソフトボックスを持っています。 両方使ってみての感想としては、全くの別物です。 ここまで変わるのか、と思えるくらい別物です。   これは触ってみないと伝わりませんが丈夫さも圧倒的に違います。 9000円の方が光が柔らかくて安定しているのと、しっかりと被写体全体に光が当たっているのがポイントです。 人物撮影に使うのであれば、光は柔らかい方がいい印象を与えやすいので価格が高くてもこういったものを導入するのがベストです。 逆に高級感を出したり、男性らしさやかっこよさをアピールするなら多少暗かったり影が出来た方がいい場合もあります。     ストロボの設定も重要 ソフトボックスやアンブレラを使う場合は、ストロボの設定も変える必要があります。 直当てと違って、ソフトボックスを被せたりアンブレラで反射させるので直当てと比べて光量が落ちてきます。 なので、普段よりパワーを上げていかないと本当に光ったのかどうか怪しいと思えるくらい暗くなることがあります。   また、ストロボによっては設定がないこともありますが照射角の設定も重要です。   ストロボの説明の際にも出てきた照射角です。 ここはレンズと同じ考え方で20mmであれば広角で幅広く、200mmであれば望遠で狭い範囲を照らす事になります。 ソフトボックスやアンブレラは光の拡散を目的として使うのが多いので、広角にするのが基本です。 全体を照らしたくてソフトボックスを導入しているのに、肝心のストロボの設定が一部分だけ照らす、というのは矛盾しています。   だからといって20mmにすればいい、というわけではなく撮影状況によって柔軟に設定を変えて対応する必要があります。 範囲が広すぎれば狭くするために設定を変えますし、あえて200mmにしてどうなるのか試してみるのも1つです。 直当てではないのですごい影響を及ぼすわけではないですが、自分にとっての最適な設定は知っておきましょう。     アクセサリー類は白だけとは限らない ソフトボックスの場合、基本は全部白ですが銀色だったり金色だったりとバリエーションも存在します。 アンブレラにも銀色がありますが、殆ど見かけることがなくアンブレラで売っているのは白ばかりです。 ただ白以外はちょっと変わった色味になってくるので、最初のうちは白で練習して慣れてきたら他の色に手を出すのが無難です。   ソフトボックスは難しいですが、レフ板は自作している人も結構います。 銀色や金色は市販されていますが、それ以外の色で独自の色を出したい人は自作しています。 レフ板の場合はある程度の大きさがあって光を反射すればいいだけなので、丸く切り抜いて固定させればそれで完成します。   まずは家にあるもので反射するか試してみたり、何かの代用品として使えそうなものがないか探してみましょう。     まとめ 最後にまとめです。 ・ストロボの主なアクセサリーはソフトボックス・アンブレラ・カラーフィルター・スヌートがある ・ソフトボックスはサイズ・形は色々とある上に値段もピンキリである ・基本は白だが銀や金も存在する   最後にソフトボックスがいいのか、アンブレラがいいのか、それは人によって違います。 色々な撮影現場でカメラマンの人と一緒に撮影してきましたが、ソフトボックスだけの人もいればアンブレラだけの人もいますし、両方併用する人もいます。 大体は四角いソフトボックスを使っていますが、物理的にスペースがなくて使えない場合もあるので毎回使えるとも限りません。   ストロボのアクセサリーは便利と言えば便利ですが、常に使えるわけではないことを覚えておきましょう。

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第3章

3-6.多灯ライティングについて

ストロボを2灯以上使う事を多灯ライティングと呼び、ほとんどの撮影では2灯以上使われています。 2灯あることで撮影の幅が大きく広がりますし、ポートレート撮影とかでは2灯が基本です。 ですが1灯と同じ考え方では扱えないのが多灯ライティングです。   そして多くの人が挫折するのがストロボを複数台使った多灯ライティングです。     1灯ライティングとの大きな違い 多灯ライティングは1灯では光が届かなかった範囲までも照らすことが出来て、ライティング次第で可能性は無限にあります。 一般的には2灯を左右に置いて、影を飛ばして人物を明るく撮ります。 全体に光が行き届いて綺麗になりますし、影も完全に飛ばすことが出来るのでスタジオ撮影、屋外撮影どちらでも使えます。 1灯だけの場合は片方に光が入らず、影が強く出てきます。   ストロボを使った撮影の基本は2灯ライティングです。 1灯の場合はものすごく簡単で光は1方向だけでしたが、2灯になると2方向からの光になります。 今まで暗かった部分が明るくなる反面、明るさを調整しないと片方が白飛びする可能性も出てきます。 バランスを調整すればとても良い仕上がりになります。   その場の環境次第では左は暗いが右は明るい、といったこともあります。 その状態でストロボの設定をどちらも同じにしてしまうと、右側だけが明らかに明るくなりバランスが悪くなります。 多ければ多いほど撮影の幅は広がっていきますが、それと同時に段々と制御が難しくなります。 1方向だけの光を考えるのではなく、ストロボの数だけ考えることが増えるのが多灯ライティングです。     多灯ライティングでのストロボの配置と考え方 例えばストロボが3灯あれば左・右・後ろだったり、左・右・正面から足元だけ、といった使い方もできます。 実際、人物撮影でその人の身長が高い場合に足元が暗くなることがあります。 全身を照らしているつもりが、実際にはヒール等で身長が結構高くなっていて足元まで光が届かない時があります。   多灯ライティングでは、どこを明るくしたいのかを最初に決めます。 明るくしたい場所に向けてストロボを配置するので、明るくしたい場所が決まっていないと配置も決まりません。 人物撮影の場合は全身を撮るのか、バストアップ(上半身)だけを撮るのか、それによっても配置が変わります。 バストアップの撮影なのに全身を明るくしても意味ないですし、足元を明るくしても写りません。   被写体が女性でごく一般的な撮影をしたいのであれば、ストロボ2灯を左右に配置しますが陰影をはっきりつけたいならちょっとずらしたりします。 もしくは3灯用意して後ろからカラーフィルターを入れたストロボを使って、色を付けてみたりすることもあります。 今回は後ろ側に黄色を入れてみました。青い空がちょっと黄色がかった空になりました。   色を付けると先ほどと比べて一気に雰囲気を変えることが出来ます。 後ろからの1灯は色を付けるためのものですので、別になくても問題ありません。 無かったらないで寂しいところもあるので、綺麗に明るくしたいのであれば1灯入れておきたいところです。 もしくはこの後ろの1灯を明るさが足りない側に回してカバーする、という使い方もあります。     撮影の完成形のイメージを固める どこにストロボを置くのかは非常に大切ですが、ストロボの配置を決める上で大事なことが完成形のイメージです。 ストロボを使うのはあくまで手段の1つです。 求めているイメージを完成させるためにストロボを使うのであって、正直なところストロボ以外でもなんでもいいです。 もしかしたら気付いていないだけで100均とかで売っている懐中電灯のほうが良かったりすることだってあります。   最終的にイメージしている写真が撮れれば使う機材は何でもいいのですが、大体はストロボで解決出来ます。 ただしこの完成形のイメージが出来上がっていないと、ストロボの配置も決まりません。 どの方向からどの程度のパワーで光を当てるべきか、何かしらのアクセサリーを使うべきか直当てでいくか、全てはイメージ次第です。   特に大事なのがアクセサリー類です。 ソフトボックスと言っても四角いのもあれば六角形だったり円形だったり、縦長のタイプだってあります。 形も大きさも全く違いますし当然ながら撮影に使えば結果も変わってきますので、何をどう使うのかを決める必要があります。   ちょっと近寄ったり離したりするだけでも結構変わりますので、イメージが出来ていないといつまでも納得のいく写真が撮れません。 最初に撮りたいイメージを確立させないことには、何か納得いかない写真だけになってしまいます。 特にストロボが複数ある環境の場合は、1つの間違いで全部がだめになることもあるのでとても大事です。     全部をフル活用する必要はない ストロボが複数台あると全部をメインで使おうと思ってしまいがちですが、全てのストロボを完全に活かす必要はありません。 全部にソフトボックスを付ける必要はないですし、場合によってはかすめる程度の位置に置くことだってあります。 本当にちょっとかすめる程度なので存在感がものすごい薄いですし、それに1台使うのかと感じるかもしれませんがイメージしているものがそれで作れるならそれでいいのです。   被写体にしっかりと当てる役割のストロボもあれば、スポットライトみたいな感じの演出をするためだけにストロボを使うこともあります。 もしくはちょっとだけ足りない部分を補うために、もったいないと思うかもしれませんが必要に応じて使います。 全てのストロボが被写体又は背景をしっかり照らすために使われる、とは限らないと覚えておきましょう。 実際、足元だけ光が足りてなくて足元用に1灯使うことは多々あります。   注意点としては足りない部分を補いたい場合に、思っていたより広範囲が明るく照らされて一部が白飛びすることがあります。 その場合はストロボの角度を変えたり、位置を変えたりして微調整します。 位置が変われば明るさも変わってくるので、それもまた微調整が必要になります。     同じメーカーの違うストロボを使う方法もあり 複数のストロボ=全て同じ機種、と考える人もいますが実際には違う機種のストロボを使うこともあります。 例えばGodox TT600がコスプレ撮影では人気ですが、TT600ではどうしても明るさが足りないときが出てきます。 そんなときには同じくGodoxから出ている別の機種を組み合わせます。 例えばTT600を2台、AD200を1台、といった組み合わせにします。   どちらも同じメーカーの製品なので同じラジオスレーブで反応します。 TT600は小型軽量、パワーも結構ありますがAD200はそれを余裕で上回るパワーを持っています。 これらを組み合わせてAD200をメインライトとし、TT600で足りない部分をちょっとだけ補う、という使い方が出来ます。 これも多灯ライティングの1つです。   ただし機種が違うのでそれぞれの特性とパワーの違いをしっかり理解しておかないと白飛びするか真っ暗な写真が量産されます。 普通に撮影するだけでも機種の違うストロボを使うと難しいですが、同時に使うとなるとさらに難易度は上がります。 まず形状が全く違うので使えるソフトボックスも変わってきますし、専用のアクセサリーも用意されています。 TT600では使えるものでもAD200では使えない、というのは多々あります。   使う機材によって使えるアクセサリーも変わるので、最初のうちはストロボは同じメーカー・同じ機種で統一するのが安全です。 現状のままではどうしようもない、となったらもっとパワーのあるストロボに切り替えましょう。     光の重なりに注意する 多灯ライティングでは光の重なりに注意することも大切です。 ストロボが複数あり同時に光るので、配置によっては光が重なるところがあったりします。 光が重なればそれだけ明るくなるので重なった部分だけが白飛びしてしまったりすることがあります。   重なっている範囲が広ければ広いほど更に白飛びしていきます。 今回は右側からの光を強くなるようにしました。光が重なっているので左側と比べて右側がかなり明るくなっています。   白飛びさせないためには必要以上に光を当てないことです。 ストロボの位置・角度を変えて調整します。 よくあるのは必要だと思って光らせていたら実は不要だったパターンです。 調整しても明るい、と思ったら一旦そのストロボだけオフにして光がどうなるのかを見てみる、というのも1つです。   ストロボ1灯では心配する必要のないことですが、数が増えれば増えるほどこの光の重なりも多くなります。 特に壁がある場合、反射しないだろうと思っていても結構反射しているときがあります。 その影響で反対側の光が予想以上に強くなることもあるので、ストロボの光だけではなく周りにあるものにも目を向けてみましょう。   特に白いものは壁でもソフトボックスでも反射すると考えておきましょう。 その反射がいいこともあれば、よくないこともあります。特に何故か不必要な明るさが出てくる時には周りを見ることが大事です。     まとめ 最後にまとめです。 ・多灯ライティングは全体に光を行き届けることが出来る ・多灯ライティングは手段であり必須ではない ・光が重なって白飛びしやすくなるので注意する   多灯ライティングは手段であって目的ではないので、光が足りていたり理想的な光が出来ているならストロボ1灯でいいです。 ストロボなしで撮影できるような環境であれば、そのまま撮影するのも1つです。 多灯ライティングを想定して撮影に挑むと機材が増えてしまい、撮影現場で持ってきたから使わなければ!と思ってしまうこともあります。 使わないで済むのなら使わないという選択肢もある、ということを忘れないようにしましょう。   持っていってなければ困るから持っていき、使う予定はないが持ってきた以上は使いたい、のは誰でも同じです。 そんなときは最終的にどんな写真を撮りたいか、のイメージを思い出しましょう。

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第3章

3-7.ストロボと他の光を組み合わせる【フォトグラファー養成講座受講者専用記事】

今回はストロボと他の光を組み合わせた撮影、ミックス光での撮影方法です。 自然光は太陽の光で自然のものですが、それ以外にも普段使っている部屋の電気やLED照明といった光もあります。 部屋の電気では明るさが足りないことが多いので、ストロボを使わない場合はLED照明を別途用意します。   ストロボは一瞬だけ強い光を放つので、LED照明の光を飛ばしてストロボの一人勝ちになります。 自然光の場合は太陽の光がかなり強いので負けることはありませんが、逆にストロボが全く意味のない存在になります。 ストロボとそれ以外の光をうまく組み合わせることが出来れば、撮影の幅が広がります。   例えば色付きのライトとストロボを組み合わせると、こういった写真も撮れます。   これはストロボと定常光を組み合わせています。例えばスタジオやロケ地にある元からある良い感じの光があった時にその光も使いたい、という場合に活躍する技です。 逆にその光を消すことは出来ないが入れたくない、という時にも使えます。     鍵となるのはシャッタースピード 今回の撮影で鍵となるのはシャッタースピードです。 シャッタースピードが早ければ早いほど写真は暗くなり、動きが止まる写真が撮れます。 逆に遅くすればするほど明るくなりますが、動きのある被写体だとものすごいブレブレな写真になります。   普通に人を撮影する上ではシャッタースピードはある程度の早さが必要です。 ですが光をしっかり取り入れるとなるとシャッタースピードは遅くする必要があります。 ライトの強さにもよりますが、弱い光であればシャッタースピードを遅くしないと肉眼では見えていても写真には反映されません。   最初の画像の場合、シャッタースピードは1/40です。人が動いたらぶれる早さです。 これをシャッタースピードだけを1/2000にしてみます。   そうすると定常光の光は消えます。人物に向けて当てているストロボの光があるので、人物はしっかり見えるようになっています。 太陽光のようにものすごい強い光を放っていればシャッタースピードを早くしても問題ないですし、むしろ早くしないと白飛びします。   ストロボと組み合わせるとなれば、この場合はハイスピードシンクロが必須です。 ハイスピードシンクロは早いシャッタースピードでもストロボが付いてこれる機能です。ストロボの電池の減りが早くなるので注意が必要です。   Godox TT600はハイスピードシンクロ対応なので、早いシャッタースピードでも追いつきます。 太陽光とストロボの光を混ぜる場合はハイスピードシンクロにするのが一番簡単な方法です。 それ以外にもNDフィルターを使う方法もありますが、どちらもまた違った雰囲気になるのとNDフィルターを別途購入して取り付ける必要があります。 普通に撮影したいときには外さないといけないので手間はかかります。   シャッタースピードが早ければ早いほど太陽光の光は取り入れられず、暗くなりますがストロボが当たっている部分は明るいままです。 ストロボの光が当たる範囲はストロボのパワーに比例するので、シャッタースピードの変化による影響を殆ど受けません。 太陽光の当たっている部分は暗くなり、ストロボの光が当たる部分は明るくなります。   それ以外の場合も考え方としては同じですが、太陽光のような強い明かりではないのでシャッタースピードの調整が必要です。 屋内だったり屋外だったり頻繁に行き来するような撮影の場合、設定を頻繁に変えることになるのでしっかり抑えておきましょう。 太陽光と同じ設定で撮影すると、完全に背景が真っ暗になってストロボの光が当たった部分以外は見えなくなります。 黒背景じゃない場所で無理やり黒背景(のような)環境を作り出す際には有効ですが、光が微妙に届くと背景が見えるのであまりおすすめは出来ません。     光を混ぜるとどうなるか? 光を混ぜるとどうなるのか?についてですが、太陽光であれば昼の時間帯で夕方~夜を作り出す事が可能です。 LEDとかであればストロボと混ぜることで面白い写真を合成なしに撮ることが出来ます。 ストロボにカラーフィルターをつけただけでは出来ないような光を映し出すことが出来ます。   これを背景に使ってもいいですし、この写真のように被写体に直接当ててみてもいいですし、アイデア次第です。 ストロボ単体では生み出せないであろう光を作り出すためには必須です。 ただしストロボと真正面からぶつければ弱い光は完全に消えてしまうので、当たらないように注意しましょう。   また、光によっては色が混ざりあって違う色になってしまうこともあるので注意が必要です。 絵の具を混ぜたら色が変わるように、光の色も混ざれば変わります。 ただ絵の具と違うのは色によってはその色を打ち消すことが出来るので、カラーフィルターやホワイトバランスをうまく調整すれば一部の色を消すことも可能です。   例えば部屋全体が青色になっている場合には、そのまま撮影すれば被写体も全部青色になります。 人の肌が青色、というのは非常によろしくないので正常な色に戻したい時、青の場合はオレンジ系の色で打ち消すことが出来ます。 色相環を見ると色の関係性がわかるので、そのような環境だとわかっている場合は事前に調べておきましょう。 使っているストロボやカラーフィルターによっては色が予想外の方向にずれることもあるので、その点も考えておきましょう。     色無しでも混ぜることがある 今まで色が関係している話でしたが、色なしの普通の光でもストロボと他の光を併用するパターンもあります。 屋外ではなくスタジオ撮影になりますが、ストロボが物理的に置けない場所かつ床から光が出ている場合とかです。 専用のライトが床に仕込まれており、床からライトアップして背景を照らしていることがあります。 更に立ち入りできないようにフェンスとか柵が張られている場合はストロボも置けないので、この光を使うことになります。   その時にもミックスさせる必要があります。 床からのライトだけを使えば被写体は暗くなってシルエット上になってしまいます。 かといってストロボだけを使えば床のライトは完全に取り込まれず、被写体は明るいが背景は暗い状態になってしまいます。   背景もいれつつ被写体も綺麗に明るくしたい、ということになるとシャッタースピードをある程度遅くしないと両方の光を取り入れることが出来ません。 シャッタースピードが遅くなると手ブレしますし、被写体が動いてもブレるのでお互い動かないよう注意しましょう。 三脚を使うだけではなく、被写体にも動かないよう説明することが大事です。     ストロボのパワーが強すぎる時の対処法 ストロボによっては最弱パワーだったとしても、思っているより明るくなってしまっていたりすることがあります。 最弱なのでそれ以上弱く出来ないですし、物理的に距離を置けるなら距離を置けばいいだけですがそれ以上動かせないこともあります。 撮影スタジオの場合だと広さが決まってますし、狭い場所だとなおさらです。 ソフトボックスを使えばある程度パワーが落ちますが、結構幅を取りますし毎回使えるとは限りません。   そういったときは反対側や天井に向けます。 壁に当てたり天井に光を当ててバウンズさせる方法を利用してパワーを落とします。 なのでストロボのパワーを上げる必要はありますが、うまく調整すれば最弱よりも更に弱い光にすることが可能です。   もしくはカラーフィルターを使うと光量が落ちるのを利用して、色なしのフィルターとなるものを使って光量を落とす方法もあります。 即席で用意できるものでは難しいので事前に想定して準備しておく必要はありますが、カラーフィルターと同じビニール系の素材を使ったりします。 問題点としてはどの程度光量が落ちるのか予測が難しいので、事前の確認は必須です。   この場合、難点としては光が拡散されるので意図しないところも明るくなることがあります。 その場合は明るくしたくない部分に黒い壁を作って光が届かないようにすることで対応できます。壁があればいいので人間が壁になってもいいです。 アシスタントとか手の空いてる人がいれば壁になってもらいましょう。立ってもらうだけでOKです。     まとめ 最後にまとめです。 ・ストロボの光はシャッタースピードにほぼ影響しない ・定常光はシャッタースピードで変わる ・太陽の光は非常に強いのでシャッタースピードを早くする必要がある      

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第3章

3-5.ストロボ遠隔操作に必要な機材について

ストロボをカメラから離して光らせることで撮影の幅が大きく広がります。 カメラの上からだけではなく、横だったり後ろだったり斜めだったりと様々な角度からストロボを光らせることが出来るようになります。 更に複数のストロボを同時に扱うことも可能になり、アイデア次第で様々な作品を生み出せるようになります。   今回はクリップオンではなく、カメラからストロボを離して扱う時(オフカメラ)に必要な機材をご紹介します。     カメラからストロボを離すために必要な機材 まずカメラからストロボを離したとき、そのままの状態ではもちろん光りません。 シャッターを押しても連動してくれず、光らせようと思ったらテストボタンを押しにいくしか方法がありません。 カメラとストロボを離した状態でシャッターを押した時に同時に光らせるためには、別の機材が必要です。   こちらの機材をカメラの上に取り付けます。 呼び方はラジオスレーブかコマンダーが一般的です。   これをカメラの上に付けて使用します。   ラジオスレーブの役割 ラジオスレーブの役割は主に2つあり ・遠隔でストロボを光らせる ・遠隔でストロボの設定を変える です。   ストロボを光らせる、というのはシャッターを押した時にストロボを光らせるための命令を出す役割を持っています。 結構シンプルに見えますが、物によっては50mとか100m離れていても光るのでかなりすごいです。 といっても基本的には数m程度離して撮影するのが多いので、50mとかは不要ですが遠隔で光らせることが出来るのは便利です。   そしてもう1つがストロボの設定を変えることが出来る点です。 全ての項目を変えられるわけではないことが多いですが、変えることが多いのは光量(パワー)です。 最低限、パワー調整が出来るタイプのものであれば特に不便しません。 ただし安すぎるラジオスレーブの場合は残念ながらストロボを光らせることしか出来ない、というタイプもあります。   ラジオスレーブはストロボを遠隔操作するためのもの、と覚えておきましょう。     モニター付きとモニターなしが存在する このラジオスレーブですが、モニター付きとモニターなしのタイプがあります。 モニターがないタイプには2種類あり、設定項目がほとんど存在しておらず本当にストロボを光らせるためだけにあるものと、専用アプリがありアプリ側で細かく設定できるタイプです。 前者は何も出来ない代わりに格安ですが、後者は結構高いです。   基本的にはモニター付きをおすすめします。 実際に想像してみるとわかりますが、カメラを持って撮影をする段階になってストロボのパワーを変えたい時は頻繁に出てきます。 その時にカメラの上のモニターを見ながら操作するか、スマホを取り出して操作するか、どっちの方が安全か?ということです。   三脚があるならどっちでもいいですが、常に三脚にカメラを載せて撮影している人はいません。 ほとんどの人が手持ちで撮影して、ストロボのパワーをラジオスレーブから変更する事が多いです。 それか直接ストロボのところまで行って操作する人もいますが、微調整であればできればその場で終えてしまいたいものです。 その時に片手にカメラ、片手にスマホで操作して設定していると安全面と手間を考えるとどうなのか?というのがあります。   モニターがない分、かなり小さく作られていますが仕事での撮影となるとスピード感も要求されてきます。 その時に毎回スマホ出して設定変えてスマホしまってカメラ構えて、というのは手間ですし見ている側としてもいいものではありません。 被写体=クライアントの場合には1つ1つの動作にも気を使ったほうがいい状況ですし、正直周りからは何をしているのかわかりません。 ストロボの設定を変えてるのか、何か違うことをしているのか、わかりませんが印象的にいいかどうかで言えば「良い」とは言い難い絵面になります。     ラジオスレーブがないと遠隔操作が出来ない 今後はもしかしたらカメラに搭載される可能性も否定出来ませんが、現状としてはストロボを遠隔操作するためにはラジオスレーブが必須です。 ラジオスレーブなしでカメラとストロボの電源を入れても、連動しないのでシャッターを押しても光りません。 初めてストロボを買った人がやってしまうことの1つにあるほど、ラジオスレーブは忘れられがちです。 ストロボ2灯持ってきたとしても、肝心の物がないということで1灯しか使えない事も多々あります。   ストロボとセットで販売されている事もありますが、大体は別売りされているので自分で探して注文しなければなりません。 セット売りだったとしても撮影現場に持ってこないと意味がないので、忘れないようにしましょう。 ストロボとラジオスレーブはセットで普段から持っていくようにする癖も大事です。     ラジオスレーブを使うメリット ラジオスレーブを使う理由としては、カメラとストロボを離して使う他に複数台のストロボを同時に扱える点があります。 カメラの上なら1灯だけですが、外してしまえば2台でも3台でも扱うことが出来ます。 使える台数は機材次第ではありますが、大体は2~3灯あれば問題ありません。使える上限として10台を超えているのもあります。   実際の撮影で10台以上使うことはないですが、2~4台程度なら日常的に使う事があります。 屋内であればストロボがないと撮影が厳しいので、ストロボとラジオスレーブはセットで持っておきたいところです。 スタジオで用意されていることもありますが、それが自分の持っているカメラで使える保証はないので持っていくのが無難です。 特にオリンパス・パナソニックは他メーカーと比べて使える機材が限定されています。         ラジオスレーブを使う上での注意点 コスプレ撮影をする人にとっては日常的に起きている問題として、他の人のラジオスレーブにストロボが反応することが多々あります。 というのも、面白いことにコスプレ撮影をする人が使う機材は見事に偏っています。 皆が同じメーカーの同じ機種のストロボとラジオスレーブを持っているので、設定次第では反応します。   これはストロボのチャンネル設定が大きく関わっています。 本来はこういったことがないように1~20くらいあるチャンネルを自分で設定して、これは自分のストロボである、とラジオスレーブとペアリングさせます。 そうすることでペアリングされたラジオスレーブがついているカメラのシャッターが押されたとき、設定されたストロボも光ります。   ではこのチャンネルが被ってしまうとどうなるか? 厄介な事に複数のラジオスレーブとペアリングしてストロボが動作します。 もちろん、チャンネルが被っていてこっちのストロボが光るのであれば相手のストロボも光ります。   シャッターを押していないのにストロボが光った場合、まず近くに他のカメラマンがいないかを探しましょう。 誰もいないのに不定期にストロボが光るようであれば不具合が考えられますし、近くにいてその人がシャッターを押した瞬間に光るならチャンネルが被っていることになります。 もし被っていると気付いた場合はチャンネルを変更しましょう。 カメラマンが何人もいる場合はチャンネルを変えても他の人と被ることがあるので、被らないチャンネルを探してひたすら設定を変えます。   さすがに電波の届く範囲に20人近くいて全員同じ機材で同じチャンネルを使うことは考えられないのでいつかは避けられます。 お互いがほぼ同時に気付いた場合は話し合ってチャンネルを決めることもあります。 あまりにも被る場合はそういった話し合いをすることも必要になってきます。 他の人からしても「想定していない場所からの想定外のストロボの光」が入り込むことは問題なので、お互いにとって重要なことです。     シンクロケーブルを使う方法もあり シンクロケーブルはカメラとストロボを接続するためのケーブルで、このケーブルを使っても離れた場所からストロボを光らせることが可能です。 ですが名前の通り、ケーブルが繋がってシンクロするのでケーブルが届く範囲に限定される上にケーブルがあるので足元注意です。 引っ掛けた時のことは考えたくないですが、有線ならではの確実性はあります。 あと差込口が一箇所しかないので、ストロボ1灯しか使えないデメリットもあります。   インターネットもそうですが有線と無線どっちが安定するかと言われたら、間違いなく有線です。 これは今も昔も変わらず言えることで、線をつないだ方が確実です。 ただそのケーブルがあったら足引っ掛けたりして危ないですし、物理的にケーブルが届かない場合も考えて無線のほうが便利ではあります。   それにカメラ側にも差込口は基本的に1つしかないので、扱えるストロボの台数も限定されます。 個人的には何よりケーブルに足引っ掛けてストロボかカメラが倒れることが一番怖いので、ラジオスレーブを使った無線派です。 被写体もカメラマンも誰も動かない、という条件付きであればケーブルを使うのも1つです。   ちなみにコスプレ撮影の場合、大型併せと呼ばれる20人以上参加する撮影の場合は無線じゃないとものすごく危険です。 全員同時に撮影、ではなく順番待ちになるので撮影待ちの人達があちこち移動するので引っ掛ける可能性が高いです。 1対1の撮影なら問題ないと思いますが、人数が増えてくる撮影であればケーブルは避けるのが無難です。   以上がストロボを遠隔操作出来るラジオスレーブです。 ストロボを遠隔操作できるかどうかで撮影の楽しさも大きく変わってきます。ストロボを購入する際には一緒に購入を検討してみましょう。

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第3章

3-4.ストロボ1灯を使った撮影の基本

今回よりストロボを使った撮影になります。 まずはストロボ1灯だけを使った基本的な撮影を学びます。ストロボ1灯でも撮影は問題なく行えます。 数があるに越したことはないですが、最初は1灯から学びましょう。     ストロボ1灯撮影の基本的な考え方 ストロボ1灯で撮影をする時に気をつけないといけないのが、光は1方向からしかない、ということです。 1方向かつ1灯だけのかなり限られた光しかありません。 ストロボのパワーにもよりますが、人間一人に綺麗に光を当てようと思ったら1灯ではかなり難しいです。   真正面から当てれば明るさは問題ないかもしれませんが、のっぺりとした感じのある光の仕上がりになります。   真正面からだとこのように光を無理やりバシッと当てました感があり、いい写真とは言い難いです。 一番簡単な配置といえばそうですが、ちゃんとした写真を撮影していきたいのであれば正面からはほぼ使わないでしょう。   ストロボ1灯の時は斜めにストロボを配置するのが多いです。 左斜めか右斜めか、これは被写体のポージングとか物理的に配置できるのかの問題もありますが左に配置することが多いです。 左側に1灯だけ置くとこのように左側は明るく、右側は光がないので暗くなります。 実際の人を相手にストロボをバンバン当てるのは気が引けるところですが、マネキンヘッドやフィギュアであれば問題なしです。 マネキンヘッドはネットでも買えますしダイソーでも買えます(100円ではないです)。   ライティングソフトで事前にイメージ図を作り、実際の撮影に活かします。 最初のうちは撮影時間のこともあってライティングを現地で考えている余裕もなければ、調整するのにも時間がかかります。 色々と考えすぎて撮影する時間がなくなってしまう事が一番の問題になるので、事前に決めておきましょう。 今度は右側に1灯だけ置いてみました。   考え方としては光がない方は影が濃くなる、です。 影が濃くなるのでキリッとした、威圧的な印象があります。男性を撮影する場合であればいいかもしれませんが、女性の場合は好まれない事が多いです。   なのでソフトボックス等を使って、ある程度光を柔らかくしつつ拡散させることで影も薄まります。 2灯使った場合と比べるとまだまだですが、1灯でも撮れないことはないです。 なので2灯以上ないと撮れない、ではなく1灯でも撮影はできる、と考えることが大事です。       パワーを上げても意味はない ストロボ1灯のみで撮影する時に、反対側の明るさを確保しようと頑張って出力を上げていく人もいますが意味はないです。 暗い場所でパワーを上げて撮影するのは明るさを確保するという意味ではとても重要です。 どれだけ頑張っても光が当たっていないところは暗くなります。 むしろパワーを上げれば上げるほど、光のあたっている部分は明るくなって白飛びします。   なので意味がない、というよりも逆効果です。 白飛びしすぎた写真よりも影が濃く残っている写真のほうがまだ使えます。 むやみにパワーを上げるのではなく、その角度からは頑張っても無理であるということを覚えておきましょう。   屋外の場合であれば、光が足りない場合は光がある場所に移動したり他の明かりになるもので代用するしかありません。 ストロボ1灯のみ、他の明かりもないのであればある程度妥協する必要があります。     レフ板を活用する ストロボ1灯ライティングの悩みどころの1つが、光があまりにも少ないという点です。 1灯しかないので光らせることが出来るのは1方向だけですし、どれだけパワーを上げても反対側が明るくなるわけではありません。 反対側を明るくしたいなら、反対側にも光が必要です。   そこで使うのがレフ板です。 太陽光を反射するためにレフ板を使う人も多いですが、ストロボでも考え方は同じです。 ストロボの反対側にレフ板を置いて、光を反射させてストロボほどではないですが影を飛ばすことが出来ます。   左側にストロボを配置して、レフ板を右側に置いて反射させてみます。 左:レフ板なし 右:レフ板あり   レフ板なしと比較してみましょう。   1灯だけ使った場合と比べて反対側にも多少の光が入ってくるようになり影が消えました。 ストロボが1灯しかない状況だったとしてもレフ板等を使えば反対側にも光を補うことが出来るのです。 更にストロボと違って電池も電力も使わないので電池切れの心配もありません。   その反面、デメリットとしてはとにかく大きいです。 小さくても60cm、ちょっと大きめで80cm、もっと大きめで120cmと結構な大きさです。 もっと小さいのも売っていますが、小さければそれだけ光を当てる的が小さくなるので難易度も反射範囲も小さくなっていきます。 一番いいのは60cmくらいですが、ストロボと比べたら圧倒的なサイズです。   屋外であれば問題なく広げられますが、スタジオ撮影の場合は使えるとは限らないので注意しましょう。 どうしてもレフ板がない、使えない、という場合は白い何かで代用する方法もあります。 反射すればいいので、白くて大きいもの(冬だったら上着とか)で頑張って反射させる人もいます。 ただしレフ板と同レベルか、と言われたらそこまでは再現できないのでないよりマシ、程度で考えておきましょう。     クリップオンはほぼ使わない クリップオンはカメラの上にストロボを付けて撮影する方法で、1灯しかない時に使っている人も多いです。 手軽にストロボを使える方法ではありますが、カメラの上にあるので重さが増すのと使い方がかなり限定されます。 安物のそれなりに大きなストロボを乗せると、たとえカメラとレンズが軽くても結構な重さになります。   重さが増えればそれだけ安定性も悪くなりますし、疲れやすくなります。 撮影に慣れていない時にカメラの重さで体力を奪われてしまうのはもったいないですし、ストロボを使う機会も減ってしまいます。 更にクリップオンの場合に出来る方法がカメラの上からのフラッシュか、天井に向けて光らせてバウンズさせる方法だけになります。 バウンズさせる方法については別途ご紹介します。   また、クリップオンの意外な使い方としてシャッター音が小さいカメラの時に「シャッターを押したことを伝えるフラッシュ」として使う人もいます。 被写体の人にシャッター音が聞こえない=いつシャッターを押しているのかわからないので、ストロボを光らせて伝えるそうです。 シャッターを押した時にストロボが光るのをうまく使った技です。 ストロボの光は全く使わず、ただ単にお知らせとしてだけ使っているので例外的な使い方ではありますが相手に伝えるという意味ではとてもいい方法です。     まとめ 最後にまとめです。 ・ストロボ1灯の場合は光は1方向しかない ・ストロボがない側は光がないので暗くなる ・パワーを上げても反対側は明るくならない。レフ板とかを使って反射させる ・クリップオン(カメラの上にストロボ)は基本的に使わない

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第3章

3-2.ストロボを使うときのカメラの設定と考え方

ストロボを使う場合、自然光が入ってこない屋内で使うことが多いです。 基本的に屋内と屋外は設定が全く違いますが、ストロボを使うようになると更に設定が変わります。 ストロボを使うときの基本知識でもありますので、しっかりと覚えましょう。     ストロボを使うときのカメラの設定の考え方 ストロボを使うときのカメラの設定は、ストロボが光らなければ真っ暗になるよう設定します。 基本的に光は全部ストロボで補う、という考えで余計な光が入ってこないようにします。 なのでストロボが光らない=真っ暗で何も見えない又はほぼ何も見えないくらいの暗さになります。 最初は不安に感じるかもしれませんが、真っ暗で大丈夫です。   カメラの基本知識については第一章で学んだ通りです。 暗くするためにはF値は高く、シャッタースピードは早く、ISOは低くする、これが基本です。 かといってF値最大値、とかにするとストロボフル発光でも厳しい事があるので、調整しましょう。   シャッタースピードについてはカメラによりますが、大体がストロボを使う場合は1/250あたりが最大になることが多いです。 ハイスピードシンクロ対応となっていれば、より早いシャッタースピードも設定可能になります。 安すぎるストロボだとない可能性もありますが、大体のストロボはハイスピードシンクロ対応です。   ただ通常使用の場合は1/250もあれば十分なので、毎回ハイスピードシンクロをする必要はありません。 どうしても必要な時だけ使う感じです。   F値は絞れば暗くなっていきますが、同時にボケなくなってしまうのでその点も注意が必要です。 ある程度ぼかしつつ、というのであればストロボのパワーを落とすか部屋自体をもっと暗くする事が必要です。     ストロボが当たらない場所=暗いままになる カメラの設定の次に大事なのは、ストロボが当たる場所と当たらない場所の違いです。 ストロボが光れば、フラッシュを焚いてるのと同じなのでその部分については明るくなります。 逆を言えば、ストロボが当たってない場所があればそこは真っ暗なままになります。   この考え方が非常に重要で、ストロボ1灯で撮影した前回の撮影では右側部分が暗くなっていました。 ストロボ2灯使って右側部分も明るくなって、左側にも多少光が当たってたので全体がいい明るさになりました。 左側から当てた場合、当然ながら右側には光が当たらないので影となり暗くなります。 右側から当てた場合、左側が今度は暗くなります。   カメラの設定で完全に真っ暗な状態を作り出した場合、ストロボが当たっていない場所はそのままの明るさです。 つまり、真っ暗です。 その暗さを活かした撮影も出来ますが、それを活かすかどうかは撮影者次第です。   当たり前といえば当たり前のことですが、ストロボ撮影は苦手な人が多く意外と撮影中に忘れていたりします。 何故暗くなってしまうのか?一部だけ明るくなるのは何故なのか?冷静に考えればわかりますが、結構焦る人も多いです。 全体をバランスよく綺麗に明るくしたいならストロボを増やすのが一番手っ取り早いです。     シャッタースピードはストロボの光が当たっていない部分に影響する F値とISO感度は全体の明るさに影響しますが、シャッタースピードはストロボの光が当たっていない部分に影響します。 ストロボの光が当たっていない部分は暗いままになりますが、シャッタースピードを変えれば明るくなります。 被写体の明るさはストロボで調整しますが、背景までストロボの光が届かない場合はストロボの影響を受けません。 そのストロボの光が届いていない背景の明るさは、シャッタースピードで調整します。   逆に屋内で壁際とかで撮影する場合、ストロボの光が壁まで届いている事がありますがこの場合はストロボに影響されます。 ポイントはストロボの光が届いていない部分です。 この部分がシャッタースピードを遅くすれば明るくなります。   実際に見てみましょう。 ストロボの光を左から当ててみました。右側はなしです。   シャッタースピードは1/200なのでストロボの光が届いていない右側は暗いです。 このシャッタースピードを1/10にしてみます。他の設定はそのままです。 ストロボの位置やパワーは同じですが、シャッタースピードを変えたことで明るさが変わりました。 ですが左側部分に関しては明るさは変わっていません。 もしシャッタースピードがストロボの光に影響するのであれば、もっと明るくなっているはずです。 左側は白飛び、右側はちょっと暗いかも、程度になるはずですが程よい感じになっています。   ストロボの光が届かない場合やストロボが足りない場合、シャッタースピードで調整して補う事も可能です。 ただしシャッタースピードを遅くすれば手ブレの問題が出てくるので、三脚の用意は必須です。 使うかどうかは別として、無かったら間違いなく困るからとりあえず持っていくのが基本です。   ストロボが苦手な人が難しいと思っているポイントの1つが、このシャッタースピードだったりします。 屋外での撮影でストロボを使う場合はかなり重要です。 ポートレート撮影の場合は背景も重要な要素になってくるので、これを理解できているかどうかでクオリティが一気に変わります。     まとめ 最後にまとめです。 ・ストロボを使う時はカメラの設定は暗めにする ・ストロボの光が当たらない部分は暗くなる ・シャッタースピードはストロボの光が当たっていない部分に影響する ・撮影範囲全体にストロボの光が行き届いている場合、シャッタースピードはあまり関係ない   シャッタースピード関連の部分は非常にややこしいので、最初のうちは撮影範囲全体にストロボの光が入るようにするのがオススメです。 まずはストロボでの撮影に慣れて、そこからシャッタースピードを理解する、この順番で進めると覚えやすいです。   次回はストロボに使うアクセサリーについてご紹介します。 何故これを使うのか?使った場合と使っていない場合の違いについて、学んでいきましょう。

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第2章

2-4.ISO感度とは?【フォトグラファー養成講座受講者専用記事】

カメラの基本設定の1つである、ISO感度についてです。 写真を撮るために最低限必要とされている設定は3つあるのは2-1でご紹介したとおりです。   今回はその1つであるISO感度について学びます。 最後に練習問題を用意していますので、実際に撮影してみましょう。   撮影したファイルを送信いただければ講師によるフィードバックも受けられます。 詳細は最後にまとめて記載していますのでそちらをご覧ください。     ISO感度とは? ISO感度は3つの設定の中では最も単純かつ設定値を頻繁に変えることがない設定です。 読み方はアルファベットそのままで「あいえすおーかんど」又はローマ字読みで「いそかんど」です。 人によって呼び方が違いますが、意味は同じです。   ISO感度は明るさにだけ影響します。これが他の設定との大きな違いであり特徴です。 ISO感度だけを変えても背景のぼけ具合は変わりませんし、被写体がぶれるのを抑えることも出来ません。   F値やシャッタースピードのように何かと明るさ、というわけではなく単純に明るさだけです。 この点については他の設定と比べて非常にわかりやすいです。 そのため、頻繁に設定を変えることがなく一度設定してしまえばその撮影場所ではほぼ固定化出来ます。   ただしISO感度は上げすぎるとノイズが発生します。 ISO100の写真とISO12800の写真を見比べてみましょう。低すぎると見えないので見える程度の明るさにはしています。 ISO100の写真   ISO25600の写真 どの程度まで上げるとノイズが発生するか、はカメラの性能次第です。 ISO800でノイズを感じることもあればISO1600でもほぼノイズがないのもあります。 更に明るさにしか影響しないこともあって、ISO感度は低めがいい(最低値+1~2段階上)と言われています。   撮影時には基本的にISO感度は低めからスタートして、ISO感度が決まったら撮影中に変えることは殆どありません。 特に屋内であれば天候に左右されることもないので、ISO感度の設定を忘れてしまうほど触らなくなります。     ISO感度を低めから始める理由 ISO感度を低めから始める理由としては、ノイズが最大の理由です。 高ければノイズが発生するのと、明るさにしか影響しないので優先順位が最後になる設定です。 F値とシャッタースピードを触れば明るさも変わるので、殆どの撮影はこの2つで何とかなってしまうのです。   逆にISO感度をある程度高めで設定していると、今度は明るさが問題になってきます。 ノイズが発生しない程度の高さであっても、結構な明るさになってきます。 特に朝~昼頃に屋外で晴れの日に撮影する場合、ISO感度を最低値にしても十分な明るさを確保できるくらい明るいです。   ISO感度を上げる理由がなく、むしろ下げないと写真が真っ白になったり白飛びする可能性があります。 天候が曇りだったり夜になってくれば暗くなるので、ISO感度を上げざるを得ないですがそうなるとノイズの問題が出てきます。 どの程度でどれくらいノイズが出るのか、許容範囲かを知るには最低値から徐々に上げていって撮影して見るしかありません。   最も最適な数字を知るためには、低い数字からちょっとずつ上げていくのが一番です。 これはISO感度に限らず、色々なところで役立つ基本でもあります。     ISO感度を変える時 ISO感度を変える時というのは基本的にF値とシャッタースピードで調整できない(したくない)時です。 F値とシャッタースピードはこれでいい、けど明るさが足りないという時に使います。   例えば昼~夜にかけて撮影し続けているとF値を低くして開放にしても、気付いたら結構暗いってことがあります。 場所によっては本当に数分で真っ暗になることもあり、F値は限界でシャッタースピードも限界ということも多々あります。 そういった状況ではISO感度を変えて、明るさを確保します。   機材を活用して明るさを確保することも出来ますが、常に周りに電力が確保できる環境とは限りません。 真夜中で機材で明るさを確保する、というのは本当に大掛かりな機材が必要です。 そうなったらISO感度を上げてある程度明るさを確保して、最悪の場合は後から加工で明るさを上げていく方法も使います。   それでもISO感度を変える頻度は結構少ないです。 かといって触らないでいると存在そのものを忘れてしまって、F値とシャッタースピードだけで何とかしようとしてしまう状況もありえます。 触らないと覚えないし忘れます。 なので通常は変える必要はないがあえて変えてみる、ということもたまにやってます。   3つしかないのに忘れるか、と思われるかもしれませんが結構忘れます。 忘れないためにもわざと触る、設定を変えるということもします。   集合写真を撮るときにもISO感度を上げる必要性が出てきます。     ISO感度を上げるメリット ISO感度を上げるとノイズが発生するのでなるべく高くしたくないところですが、上げることでのメリットもあります。 単純に明るくなる、というだけではなく明るくなるということは他の設定で明るさを気にしなくていいことになります。 シャッタースピードを早くしたり、F値を上げる(絞る)事が可能になります。   シャッタースピードをもっと早くしないと被写体の動きが早くて止まらない、という時にシャッタースピードを早くすると単純に今度は明るさの問題が出てきます。 かといってこれ以上開放にしたくない、値は変えたくない場合に明るさを稼ぐとなるとライトとかの機材を使うか、ISO感度を上げるかです。 上げすぎるとノイズが出てしまうので程々に、ではありますが屋外とかでは非常に重要です。   例えば風景写真とかで全体を綺麗に撮影したいが三脚がない場合、シャッタースピードをある程度遅くする必要があります。 常に三脚が使えるわけではなく、スペース的な問題で物理的に三脚が使えない場合もあります。 手ブレしないギリギリのシャッタースピードを把握していれば、設定が1つ1つ決まっていくので自然とISO感度も決まります。   集合写真も同様で、全員の顔をぼかさずに綺麗に撮るとなるとF値を上げるしかないので明るさが不足します。 かといってシャッタースピードを遅くしすぎると誰かしら動いてしまい、ブレる人が出てきます。 子供の集合写真か大人の集合写真かで変わってきますが、ある程度の早さのシャッタースピードは必要になってきます。 その状況で明るさを確保する、となるとISO感度を上げるのが一番簡単です。     迷ったらオートで撮る ISO感度の設定は最初のうちは適切な数字が全くわからず、真っ白な写真になってしまうこともあります。 どうしても設定がわからない、という場合はISOオートを選びましょう。 ISOオートで撮影すると、カメラが自動的に明るさを調整してくれるので考える設定が1つ減ります。   ちなみにISOオートは大体のカメラで上限を決めることが出来ます。 例えば3200を上限した場合は、自動的に設定される最高値が3200になるのでノイズの発生しすぎを防ぐことが出来ます。 これを決めなかった場合、ISO12800とか25600といった普通設定することがない値に達することもあります。 通常ここまで上がることはないですが、他の設定値次第ではありえます。   また、明るさが全然違う環境に頻繁に行き来するような撮影環境ではISOオートのほうが良かったりします。 そんな環境があるのか、と思われるかもしれませんが自室からキッチンへ移動してみるとよくわかります。 たったこれだけの移動でさえ明るさが変わってくるのと、環境によってはISO感度を2~3段階も変えないといけないことがあります。   F値はほぼ固定としても、シャッタースピードはだいたい触ります。 更にISO感度も頻繁に触るとなると結構な負担ですので、ISOオートでシャッタースピードに集中するということが出来ます。 あとは単純に設定を2つ同時に変えていると、余裕がなくなって撮影自体が少し適当になってくる点もあります。 最初はまず撮影自体に慣れることが大事なので、設定するべき項目を1つでも減らせるのは大きいです。   オートで撮るのは良くない、と言う話もありますがオートでしか撮れないのが問題であり必要に応じてオートを選ぶ事も大事です。     まとめ まとめです。 ・ISO感度は明るさにしか影響しない ・ISO感度を上げすぎるとノイズが発生するので上げ過ぎ注意 ・ISO感度は低い数字から始めていくのが良い ・迷ったらISOオートを使う。ただしオートでしか撮れない、というのはNG   ノイズもどの程度まで許すか、はその人の匙加減ですので一概にこの数字までならOKというのは出せません。 個人的にはISO3200あたりから結構ノイズが目立つので、基本的には800~1600で抑えています。     練習課題 今回はISO感度に特化した説明をしました。 通常は3つの基本設定すべてを組み合わせて撮影するのですが、まずは1つ1つ覚えることが大事です。   今回学んだことを実際に理解できているのか、確認用として以下の課題をご用意しました。 課題の取り組み、提出は任意ですが提出することで講師からのフィードバックを受けられます。     課題1.ISO感度を最低値に設定して撮影してみよう ISO感度を最低値にして、撮影してみましょう。 当然ながらそのままでは真っ暗になってしまうので、F値とシャッタースピードをうまく活用して明るさを確保しましょう。   課題2:ISO感度を一番高い数字にして撮影してみよう 今度は逆にISO感度を一番高い数字にしてみます。 屋内であれば夜に部屋の電気をすべて消して撮影するのが良いでしょう。 この2つの課題を実践することで、極端な数字ではありますがノイズが出るということの意味がよくわかります。   課題3:自分の中での「軸」となるISO感度を見つけよう ISO感度の適切な数字は人によって違いますし、こればかりは実際に撮影して経験してみるしかありません。 自分の中での「最初のISO感度」を決められるように、色々な数字に変えて撮影してみましょう。 ノイズがどの程度までなら許せるか、それさえわかれば撮影環境が変わってもすぐに撮影を始めることが出来るようになります。 見つけたらそのISO感度で撮影してみましょう。   課題の提出について 課題の提出方法はメッセージ機能を使って担当フォトグラファーにファイルを添付して送信して下さい。 ファイル名とファイル形式はそれぞれ以下に変更して下さい。ファイル名が異なりますとどの講座のものか確認出来ず再提出となる場合がございます。 課題1のファイル名:2-4-1 課題2のファイル名:2-4-2 課題3のファイル名:2-4-3 ファイル形式:jpg

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第2章

2-5.3つの設定の組み合わせの考え方【フォトグラファー養成講座受講者専用記事】

ここまでの内容でF値・シャッタースピード・ISO感度について学びました。 写真を撮る上では避けては通れない設定であり、この3つの設定を理解していないと求めている写真は撮影できません。     3つの設定のおさらい 再度3つの設定についておさらいしましょう。 F値 ピントが合っていない所(前後)をぼかし、明るさを変えます。 F値が低い(開放)でよりぼかして明るく、F値が高い(絞り)とぼかさず暗くなります。 背景をぼかすためには被写体と壁(ぼかしたいところ)の距離も重要です。   シャッタースピード 動きのあるものの動きを止めたり、明るさに影響のある設定です。 シャッタースピードの表記は1/100のように何分の1秒か、で表記されます。 シャッタースピードが遅い(1/2→0.5秒)とぶれやすく明るくなり、速ければ(1/100→0.01秒)ぶれない代わりに暗くなります。 これは被写体の動きだけではなく、カメラを持つ人の動きでもぶれてきます。   ISO感度 ISO感度は明るさに影響のある設定です。高くすればノイズが出るので注意が必要です。 ISO感度が低ければ暗く、高ければ明るくなります。この   基本の3つの設定は以上です。どんな撮影であってもこの3つの設定を理解しておく必要があります。     撮りたい写真を最初にイメージする 設定を決める前に最初に撮りたい写真のイメージを決めます。 この3つの設定は撮りたい写真を撮るために必要な設定に変えるので、撮りたい写真が決まっていなければ設定をどうすればいいのかも決まりません。 被写体の動きが素早く捉えるのが難しいならシャッタースピードは速くしないとぶれぶれの何が写っているのかわからない写真になりますし、深夜に星空を撮影したいのなら明るさを確保しなければなりません。   何も決まっていなくてもシャッターさえ押せれば写真は撮れますが、それが真っ白だったり真っ黒だったりと何も見えない写真になることもあります。 とりあえず見えるようにするのであれば、3つの設定を触ればとりあえず見える写真にはなります。綺麗かどうか、撮影した人や依頼主が納得するかどうかは別として、見える写真にはなります。 撮りたい写真がどんなものかイメージが決まっていないので、これでいいのか?という疑問が常に出てきます。   そうならないよう、最初に撮りたいイメージを確定させます。 例えば今回はF値の説明のところにあった写真を撮りたいとして、イメージを用意します。 背景を大きくぼかして全体を明るめにしたい、をテーマとします。     撮りたいイメージから設定の順番を決める この場合、まず決めるべき設定はF値です。 F値を最初に選ぶ理由としては、今回のイメージ写真を見てポイントとなる部分を抜き出します。今回の場合は3つあります。   ・背景がよくぼけている ・被写体に動きはない ・明るめの写真   この3つのポイントを1つ1つ見ていきます。 ポイント1:背景がよくぼけている 考え方1:F値は低い+背景をぼかすための設定はF値しかない   背景がよくぼけている、ということはF値に関してはかなり低め(開放)で撮っている事がわかります。 あくまでイメージなので完全に同じぼけ具合である必要はありませんが、この時に設定するなら手持ちのレンズを一番開放にするということです。 実際に撮影してみないとOKかNGかはわかりませんので、とりあえずかなり開放するということでF値は低めに決まります。   次に決めるのがシャッタースピードです。 ISO感度は明るさにだけ影響するので最後で大丈夫です。明るさが足りなければ上げればいいだけですのでシャッタースピードを見ていきます。   ポイント2:被写体に動きはない 考え方2:手ブレしない程度のシャッタースピードならいい   今回は被写体に動きがありません。止まってください、といえば普通に止まってくれるでしょう。 ということは被写体が動くことによるぶれの心配は不要となるので、自分自身のカメラの手ブレと明るさにさえ注意すればいい、となります。 先程決めたF値がかなり低めになるので、既にそれなりに明るい状態です。そうなるとシャッタースピードは速くしないと明るすぎて真っ白になりかねません。 シャッタースピードを速くすれば写真は暗くなり、手ブレの心配も無くなります。   具体的な数字はその環境によって変わりますが、F値を考えると普通に構えて撮影して手ブレすることはないくらいの速さにはなりそうです。 ここまで決まればISO感度ですが、今回は明るさを確保できているのでISO感度は低めでも問題なさそうです。   ポイント3:明るめの写真 考え方3:ISO感度は低めにする(既に他の設定でかなり明るい)   今回のイメージ写真に近いのを撮影するとしたら、シャッタースピードとISO感度に関してはほぼ明るさ調整用として設定します。 調整するときもシャッタースピードから先に設定していきます。シャッタースピードで限界だと思ったらISO感度を調整しましょう。   ちなみに今回のイメージ写真の各種設定は以下になります。 F値:1.2 シャッタースピード:1/125 ISO:100   フルサイズでズームレンズ使用、63mmの設定にしています。 実際に撮影する時にはイメージと手持ちの機材、環境に合わせて設定を変えていきましょう。 望遠レンズを使えばF値が多少高くてもそれなりにぼけるので、F値を重視せずに望遠レンズを使うという方法もあります。     イメージ通りにならなくても撮る 仮にイメージ通りの写真が出来なかったとしても、その写真は消さずに残しておくことが大切です。 イメージ通りでなかったとしても、その写真はその時の自分自身の記録でもあり大事なデータでもあります。 写真データにはF値・シャッタースピード・ISO感度の設定値が記録されており、後で見返すことが出来ます。   イメージ通りになるかどうかはシャッターを押して写真として確認するまでわかりません。 迷ってシャッターを押せないというのが何も残らず結果がないとなってしまうので、とにかくシャッターを押すことです。 そのデータを後で見返して、あの時どの設定をどうすれば理想のイメージに近付ける事ができたかを考えましょう。 撮影中は余裕がなくて落ち着いて設定を変えることが出来ないかもしれませんが、後から見返せば驚くほど冷静にどうすればいいのかが見えてきます。   どうすればいいか、がわかるようになればある程度は撮影に入る前に事前に設定ができます。 背景をぼかすならF値低めで用意しておけばいいですし、明るさもわかっているのなら最初から設定を終えた状態で撮影に入ることも出来ます。 設定の修正が必要なければその分の時間が使えますし、何よりいいスタートダッシュが切れるので自分自身のやる気やモチベーションアップにも繋がります。 心に余裕ができれば撮影中に設定を変えるとしても落ち着いて対応できますし、イメージ通りの写真が撮れる確率も上がります。   ただそれが出来るようになるにはとにかく写真を撮って、データを見て、設定を見てどうすればよかったかを考えて実行していく事が大切です。 その時だけで終わらせるのではなく次の撮影に活かして、その撮影データをまた見てどうするかを考える、これの繰り返しで上達します。     撮影した写真を見返して考える 先程のイメージを使って撮影をしたとします。その結果がもしこのような写真になった場合、どうしてそうなったのかを考えるようにします。   イメージとしては背景を大きくぼかした明るめの写真でした。ですが今回出来上がったのは暗めで背景も全くぼけていません。 もし依頼主から渡されたイメージがあの写真だとするならば、これを納品してもNGを出されてしまいます(そもそもこれを納品してはいけない)。 イメージ写真を比較して、何が問題だったか、どうすればイメージに近付ける事ができるかを考えます。 そのためには基本の3つの設定をしっかり理解しておかないと、どれだけ考えても答えは出ません。   まず問題点を洗い出します。今回の場合は主に2つです。   ・全体的に写真が暗い ・背景がぼけていない   問題点としては2つですが、解決するためにするべきことは1つだけです。 背景をぼかすために設定を変えるとなれば、F値以外に答えがありません。 F値を低くすれば明るさも連動して確保できるようになるので、F値を変えるだけで2つの問題が一気に解決します。   どの程度まで明るくなるのかは実際に変えて撮影しないとわかりませんが、明るさだけが足りないのであれば他の設定でも補えます。 シャッタースピードでもいいですし、ISO感度でもいいです。状況に合わせてどちらかを変えて明るさを確保しましょう。 そうすれば先程の写真もこのように変わります。 今回はF8、ISO400→F2.2、ISO100にしたものです。   イメージはあくまでイメージなので、必ず同じ被写体・同じ背景にしなければならないということではありません(要望があれば別)。 今回のは背景を大きくぼかして全体を明るめにしたい、が要望です。 背景が違ってもぼけていて明るさを確保できているのなら、今回の要望には応えられています。 あとは実際に依頼主に写真を見てもらって確認します。もうちょっと被写体を左に、とかもうちょっとだけ暗くていい、とか色々と出てくるので対応しましょう。     まとめ 最後にまとめです。 ・撮りたい写真のイメージから3つの設定の優先順位を決める ・それぞれの役割を理解していないとイメージ通りの写真は撮れない ・イメージ通りじゃなくてもとにかくシャッターを押して写真を残す   撮影する側としてはこれでいいのか?という写真でも依頼主がものすごく気に入る事もあります。 気にいるかどうかは見てもらうまでわかりませんし、そのためにはとにかくデータがないと見せるものもなく何も始まりません。 とにかくデータを残して後で見る、を忘れないようにしましょう。     練習課題 今回は基本となる3つの設定の再確認とどう考えたらいいのか、について学びました。 実際に自分でこういう写真を撮る、とテーマを決めて撮るのが一番です。テーマが決まらない場合は練習課題に挑戦してみてください。   課題の取り組み、提出は任意ですが提出することで講師からのフィードバックを受けられます。   課題1.背景を大きくぼかしつつ、少し暗めの写真を撮影してみよう 背景はしっかりとぼけているのに全体的にちょっと暗い写真を撮影してみましょう。   課題2.背景をぼかしつつ、動く被写体に動きをつけながら全体は少し暗めで撮影してみよう 少し難易度の高い撮影になります。明るさがポイントです。 課題1と同じくらい背景がぼかせられるようになったら素晴らしいですが、難しければ課題1ほどぼけていなくても大丈夫です。   課題3.星がはっきりと見えるような星空を撮影してみよう 星空撮影は3つの設定をちゃんと抑えていれば出来ます。三脚があると安定して撮影できるので持っている方は使っていきましょう。   課題の提出について 課題の提出方法はメッセージ機能を使って担当フォトグラファーにファイルを添付して送信して下さい。 ファイル名とファイル形式はそれぞれ以下に変更して下さい。ファイル名が異なりますとどの講座のものか確認出来ず再提出となる場合がございます。 課題1のファイル名:2-5-1 課題2のファイル名:2-5-2 課題3のファイル名:2-5-3 ファイル形式:jpg

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第2章

2-7.構図について【フォトグラファー養成講座受講者専用記事】

今回は写真の構図について学びます。 構図は人によって好みも分かれますし、無意識でやっている人も多いです。 種類としてはかなりの数がありますが、今回は代表的な構図を学びます。     構図とは? 構図は一言で言えば写真の撮り方です。 メインとして写したい被写体を写真のどこに置くかを決めて撮影します。   写真を普段撮らない人でも人や動物を撮る時には真ん中にくるように撮影すると思いますが、それも構図の1つです。 真ん中に配置するのは一番よく使われる構図です。   一緒に映り込むものによっては、人物撮影の場合は人物を端にしたほうがいい場合もあります。 わざと端によってしまった、のではなくあえて端にするというのが構図の難しい所です。 今はこういった状況だから人物を端に置く、と自分の中で納得して撮るのであればいいですが、とりあえず、で端に寄せれば写真撮るのが下手な人と思われてしまいます。 それもあってか、大体は中央に置く(外れにくい)のが多いです。   構図の難しい所でもありますが、メインとなる被写体と一緒に映り込む物や背景の配置をしっかりと考える必要があります。 場所が同じであったとしても、構図次第で全く違う場所で撮影したように見せることも出来ます。 周りに写っているもの次第で雰囲気も一気に変わります。     構図を決める前の基本 構図はとても大事ではありますが、その前に注意するべき基本的なことを抑えておきましょう。 最初のうちは構図なんて考える余裕もないですが、構図を気にしていない場合でも気をつけたいのが水平線です。   横一直線の水平線、これが非常に大事です。 どの構図を使うか考える上でも水平線がめちゃくちゃになってしまった写真だと見るのがすごくしんどくなります。 特に初めて撮影するときはその写真を見ても特に何も感じないと思います。 ただ1~2ヶ月くらいして最初の頃の写真を見続けてるとしんどくなることがあります。   写真が意図せず斜めに傾いていて、船酔いみたいな感覚になることがあります。 狙って傾けて撮ったものであれば気にならない事もありますが、慣れていない時に撮影した傾いている写真だと話は別です。 特にRAW現像もしていないjpeg撮って出しの写真だとなおさらです。   これを回避するためには水平線を意識しましょう、が答えですが自分ではまっすぐのつもりでも撮影後に見たら斜めになっていた、というのはよくあります。 斜めになっていないつもりでも実際はちょっと傾いているものです。 最近のカメラには水平線を表示させる機能がついているので、表示させて活用しましょう。   表示させても撮影時に写り込むとかはないので、ちょっと斜めになっているかも?と思ったら使ってみましょう。 実際使ってみるとわかりますが、本当に水平に保つためには三脚を使うか結構集中することになります。 その上で構図も考えて、となると撮影できる写真枚数も限られてくるので慣れるまでは次で紹介する日の丸構図で水平線を意識するのがおすすめです。   代表的な構図 構図の種類は本当に数が多すぎるため、全部を把握して使い分けるのではなく最初は代表的な構図だけを覚えましょう。 いきなり難しい構図に挑戦して、なかなか決まらずシャッターを押せないとなっては意味がありません。   日の丸構図 一番多くて使いやすい構図であり、1枚目の写真と同じ構図です。 写真のように被写体を中央に置いた構図で、迷ったら日の丸構図にするのがオススメです。 使いやすさと見やすさを兼ね揃えています。   二分割構図 これも日の丸構図に続いて使いやすい構図です。   縦にせよ横にせよ、画面を二分割して考える構図です。 左右対称の被写体を綺麗に真ん中に置くことができれば、とても良い写真になります。 写真は風景ですが、結構綺麗に青空が広がっていたので採用しました。青空と森林で分割するイメージです。   左右非対称の場合だと少しやりにくい点はありますが、これも無意識にやっている人も多いかと思います。 被写体を中央に配置しつつ左右対称になるようにする、というのはとりえあず、で思いつくものです。 なので特別意識することもなく、撮影に慣れてくれば自然と使える構図でもあります。   三分割構図 これも比較的使いやすい構図で、日の丸や二分割以外にちょっと違う構図をしたい、となったら最初にやってみましょう。 日の丸、二分割の応用みたいなものです。 考え方としては、画面を縦横3分割にして9個のブロックを作ります。 このブロックの点や線に合わせて被写体を置いて撮影することで、いい感じに左側や右側に被写体を配置した写真が撮れます。 更にこの構図はカメラによってはグリッド表示で出せるので、撮影時に合わせやすかったりします。 頭の中でイメージするのではなく、グリッドを表示して実際に目で見て撮影できるので失敗しにくいです。 撮ってみないとわからない、ではなく撮る前から左か右か、とかを決められるのと撮り方次第で色々な見せ方も出来る構図です。   ただいきなり始めるのではなく、最初は日の丸構図と二分割構図を覚えてからのほうがいいでしょう。 とりあえず、ではなく何故今回はこの構図がいいのか、この位置なのか、も考えて撮るようにすることも大事です。   サンドイッチ構図 これは何かの間に被写体を入れて撮影する構図で、町中とか森にある木とかを使っているのが多いです。   例えばビルとビルの間に人を入れて広く撮影したり、木と木の間に人を入れてみたりするパターンが多いです。 商品撮影よりも人物撮影でよく見ますし、写真の場合ですと手前側ですが真ん中にいる鳩がサンドイッチされています。 商品撮影でサンドイッチ構図をすると、物によってはものすごい圧迫感とか商品より両端が目立つ可能性もあります。   距離があれば遠近感や立体感を出す事もできます。 横並びにしてしまうと、ただ一緒に並んで写っているだけの写真になってしまうので少し難しい構図でもあります。 特に被写体が棒立ちで両隣が木だと木3本みたいな感じになってしまい木に擬態している人に見えてしまいます。 なにもない空間では使えないので使える場所とかシチュエーションも限定的ですが、うまく使えば良い写真になります。   シメントリー構図 これは被写体の左右または上下を対称とするバランスの良い構図で二分割構図にかなり近いです。   イメージとしては鏡に映したかのような綺麗な左右対称・上下対称になるような写真です。 全体的にバランスがとても良く安定感があり、特に意識せずこんな感じで撮影している人も多いと思います。 全体を見てバランスの良さ重視で撮影すると自然と撮影できる構図でもあります。   コツとしては全体的に左右対称・上下対称になることを意識して真正面から撮影することです。 対称にするためには正面から撮影する必要があり、位置がずれると対称ではなくなってしまいます。 綺麗に中心を捉えて正面から堂々と撮影することが大事です。   撮影できる場所と環境が限られてきますが、水面に反射させて撮影するのもシンメトリーです。     放射線構図 遠近感を思いっきり出す構図で奥行きを感じさせることが出来ます。 実際にはそこまで奥行きがなくても、この構図を利用することで奥行きがかなりあるように見せることも出来ます。 そうはいってもある程度の奥行きは必要になるので、壁から離れた距離でないと使えない構図でもあります。 すぐ後ろに壁があると遠近感がなくなり、狭さを感じさせる写真になってしまいます。   この鳩が並んでいる写真ですと、実際の奥行きは先程のサンドイッチ構図で使っていた写真で確認出来ます。 この写真だけを見るともっと奥があるように見えますが、鳩からしたら奥行きがあるかもしれませんが人にとっては大した奥行きがない場所です。   これら以外にも構図はたくさんありますが一気に覚えても扱いきれません。まずは自分の得意な構図を見つけましょう。     構図を意識しすぎない 初心者だけではなくプロでも結構やってしまう人が多いのが、構図を意識しすぎてシャッターを押せない問題です。 構図を意識することは大切ですが、何よりもシャッターを押さないと写真は残りません。 撮った写真がいいかどうかはとりあえずシャッターを押して写真として残さないことには確認が出来ません。   1枚の写真にものすごい時間をかけてなかなかシャッターを押せない人をよく見かけますが、被写体の人がずっとその姿勢を保っている事を忘れないようにしましょう。 その1枚のために延々ときつい体勢を維持し続けるので、時間的にも体力的にも一気に持っていかれます。 構図を意識しすぎてシャッターを押せない、ということがないようある程度見えてきたら1回シャッターを押す、位の気持ちで撮りましょう。 構図がちょっと決まっていなくても写真が無いよりは全然良いです。   迷ったときにはこの構図にする、と決めておくと迷っている時間を多少減らすことも出来ます。 撮影には時間が限られているので、構図に迷ってシャッターを押せずに時間だけが過ぎていってしまった、いうことがないようにしましょう。     構図はあくまで参考として考える こういう構図があります、という話をするとこれに従って収めなければならない、と思ってしまう人も結構います。 写真の世界は正解がない世界友いわれているように、必ずどれかの構図に当てはめないといけないということはありません。 むしろ構図もある程度代表的ないくつかのパターンに当てはめているだけで、実際にはそれは違う構図なのでは?と思える写真はたくさんあります。   既に決まっているパターンに当てはめるのではなく、どのパターンにも当てはまらない写真でも何ら問題はありません。 ただ最初のうちは何かしらの基準や参考になるものがないと始めにくいので、最初は練習ということで構図を決めて撮影練習をするのが良いです。 慣れてくるとここから撮ったほうがいいんじゃないか?とかこの角度はどうか?とか構図を意識せずに良い写真が撮れるようになります。 この角度はとても良いと思うけど構図から外れてしまう、と考えてしまい良い写真が撮れる可能性を逃してしまうのは非常にもったいないです。   構図はあくまで参考、良いと思ったら構図うんぬん考えずにとりあえずシャッターを押すことも大事です。 直感に従って撮影すると結構いい写真が撮れることも多いです。想像以上に良い写真になることもあります。   構図に迷ったらこれ、というのを決めてシャッターを押して写真を残す、これを癖付けましょう。

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第2章

2-3.シャッタースピードとは?【フォトグラファー養成講座受講者専用記事】【練習課題付】

カメラの基本設定の1つである、シャッタースピードについてです。 写真を撮るために最低限必要とされている設定は3つあるのは2-1でご紹介したとおりです。   今回はその1つであるシャッタースピードについて学びます。 最後に練習問題を用意していますので、実際に撮影してみましょう。   撮影したファイルを送信いただければ講師によるフィードバックも受けられます。 詳細は最後にまとめて記載していますのでそちらをご覧ください。     シャッタースピードとは? 2-1で軽く紹介しましたが、シャッタースピードは動きのある被写体の動きを止める事ができる設定です。 走っている人、自転車、スポーツ等の動きのある撮影ではシャッタースピードが重要です。 この設定を理解できていないと、被写体がぶれた何が写っているのかよくわからない写真ができあがります。   シャッタースピードはSSと表記されることもあり、○秒分の1(1/8000秒)で表されます。 1/1なら1秒ですし、1/2なら0.5秒です。 シャッターを押してから実際に写真として出てくるまでの時間です。   1/1000であれば0.001秒とシャッタースピードが早いです。 カメラによりますが、"3といった表示になっている時はシャッタースピードは遅いです。 上記の場合だと3秒なので、シャッターを押してから3秒後に撮影されることになります。   シャッタースピードの早い遅いはプロでもたまにどっちだったかを忘れることが多いほど、勘違いしやすい設定です。   現在のシャッタースピードが1/100だとします。 シャッタースピードを早くする、と言われたら1/200や1/400のように/の後ろの数字を大きくします。 シャッタースピードを遅くする、と言われたら1/50や1/10のように/の後ろの数字を小さくします。   こうやって文章で見ると当たり前に見えるかもしれませんが、実際に撮影の現場に入ったり人に説明するとなると話は別です。 F値もそうですが、言い間違えも多いところですので注意しましょう。   そしてF値同様、明るさにも影響します。 シャッタースピードが遅ければ明るくなり、早ければ暗くなります。   例:シャッタースピード 1/1000の写真(手持ち・三脚未使用)   1/1000で手持ちで動かない被写体であればぶれることはないです。走ってる新幹線の写真を撮るのに最低限必要と言われる早さです。 人物撮影であればぶれる心配はありません。 明るさはこの写真を基準とします。シャッタースピードを遅くしていくとよりぶれやすく明るくなります。   例2:シャッタースピード 1/10の写真(手持ち・三脚未使用) ※他の設定が同じままだと真っ白になったので多少調整しています。   人によってはギリギリ耐えられるかもしれないくらいのシャッタースピードです。手ブレ補正あり+練習すればぶれないようにも出来ます。 今回はなるべく動かないようにしていましたが、ちょっとぶれています。この程度のぶれならもう1回頑張れば抑えられると思います。   例3:シャッタースピード 1秒の写真(手持ち・三脚未使用)   1秒間完全に停止しなければならないとぶれる、という状況ですので手持ち撮影で頑張れば何とかなりますがかなりの体力を消耗します。 カメラを固定しない限りはぶれます。手ブレ補正がかなり強化されてきていますが、それでもまだまだ厳しいです。 ぶれている写真が欲しい、という依頼ならいいかもしれませんがこの写真を採用できるか、と言われたら普通は無理でしょう。   今回の被写体は動くことがないので、ぶれる原因としては撮影する側であるカメラを持っている人が動いているのが原因です。 シャッタースピードを遅くすればするほどもっとぶれていき、明るくなります。     シャッタースピードの目安 これらの数字はあくまで目安であり、実際の速さに合わせて微調整する必要があります。   走ってる新幹線を止めて撮影するためには、1/1000~1/8000が必要と言われています。 走っている人なら1/160程度で良いと言われています。 走るのが早い人の撮影であればもう少しシャッタースピードを早くするのがいいでしょう。   普通に歩いている人を撮影するのであれば、1/100は欲しいところです。 その人の速さ次第ですが、1/80あたりでブレることが多いです。   手ブレ補正のあるカメラでも、1/4あたりから少しずつブレてきます。 手ブレをさせないことだけに集中すれば1/4でもブレずに撮影できますが、かなりの集中力を使います。 それ以上遅くすると手ブレ補正ありでも辛くなります。   動かないものを撮る時はシャッタースピードは気にする必要はありません。 特に屋内かつ商品撮影とかをする場合はシャッタースピードは明るさ用の設定になります。 三脚を使えば手ブレを気にすることすら無いので更に良いです。   逆に遅くする場合ですが、遅くするパターンとしては明るさが欲しい場合とちょっと変わった撮影をしたい時に使います。 マジックアワーと呼ばれる、日の出の時間にシャッタースピードを数分に設定して撮影する方法です。 それ以外にもありますが、シャッタースピードを数秒~数分にするのは特殊な撮影のみです。     手ブレ補正があれば有利 手ブレ補正は全てのカメラに搭載されているわけではなく、それなりの価格帯のカメラのみにあります。 レンズ側にも搭載されている場合があります。 この手ブレ補正があると、多少シャッタースピードを遅くてもぶれない写真を撮ることが出来ます。   撮影環境が暗すぎて明るさを必要とする場合で、シャッタースピードで調整するしかない場合にとても有利です。 それ以外にも撮影現場があまりにも狭くて機材を使えない場合にも使えます。 明るさが足りない+狭くて機材も置けない撮影現場はよくあります。常に手持ちの機材全てを活用できるとは限りません。   たまにある、ではなく基本的に明るさが足りないものだと思っておいたほうがいいです。 明るさは自分で作り出すもの、と考えて準備することが大事です。   F値、シャッタースピード、ISO感度、それぞれの設定全てに明るさが影響しています。 更に被写体が動くのか動かないのか、どういった撮影をしたいのかを考えて設定値を決める必要があります。 遅くせざるを得ない場面でなくても、手ブレ補正は有利なのであって損はないです。     夜景撮影では三脚必須 夜景撮影をする時、シャッタースピードはかなり遅く設定します。 F値は絞ることになるのでそれだけで暗くなりますし、それ以前に肉眼で見ても既に真っ暗な状態です。 その状態で撮影をするとなると、明るさの確保が必須です。   明るさが足りなければ真っ暗な写真になりますし、機材でどうにか出来る話でもありません。 中には手持ちで撮影したい、という人もいるかもしれませんが手ブレ補正があっても夜景撮影はかなり厳しいです。 夜景撮影の場合、1/4とかではなく秒単位のシャッタースピードが必要です。   1/4より遅いシャッタースピードで手持ちで手ブレさせない、というのは結構難しいです。 呼吸する程度の動きでさえブレるので、息を止めてかつ完全に動かない状態になる必要があります。 息を止めるだけなら簡単ですが、全く動いてはならないというのは非常に難しいので三脚を使うのが一番楽で確実です。   また、三脚によってはシャッターを押すだけでも動いてしまいぶれてしまうので、遠隔操作したりレリーズと呼ばれる遠隔でシャッターを切れる機材を導入等が必要です。 いくつか三脚も試しましたが、安いものだとシャッターを押した瞬間にブレました。どれだけ頑張ってもシャッターを押すパワーに耐えられていませんでした。 夜景撮影を中心にしたい場合は、三脚はお金をかけてしっかりしたものを選ぶことが大事です。     練習課題 今回はシャッタースピードに特化した説明をしました。 通常は3つの基本設定すべてを組み合わせて撮影するのですが、まずは1つ1つ覚えることが大事です。   今回学んだことを実際に理解できているのか、確認用として以下の課題をご用意しました。 課題の取り組み、提出は任意ですが提出することで講師からのフィードバックを受けられます。     課題1.シャッタースピードを5秒で撮影してみよう(三脚なし、手持ち) 手持ちで5秒で撮影して、真っ白にならないようF値も調整してみましょう。 手持ちなのでブレブレの写真になりますが、今回は練習ですので気にせず撮影しましょう。   課題2.シャッタースピードを調整して、ギリギリブレない写真を撮影しよう(手持ち) 今度は手持ちでブレていない写真を撮影してみましょう。 シャッタースピードに正解はないので、自分にとってのベストな設定を探してみましょう。 手ブレ補正の有無は問いませんが、補正があるカメラ又はレンズであれば補正ありと補正なし、両方試してみましょう。   課題3.歩きながら写真を撮ってもぶれないようにしよう(手持ち) シャッタースピードを適切に設定することができれば、歩きながら撮影してもぶれない写真を撮影できます。 動いているのは常に被写体とは限りません。自分自身が動いて撮影しないといけないことだってあります。 被写体が動きの読めない野生動物だと想定して、歩きながらでもぶれない写真を撮れるように練習してみましょう。   課題の提出について 課題の提出方法はメッセージ機能を使って担当フォトグラファーにファイルを添付して送信して下さい。 ファイル名とファイル形式はそれぞれ以下に変更して下さい。ファイル名が異なりますとどの講座のものか確認出来ず再提出となる場合がございます。 課題1のファイル名:2-3-1 課題2のファイル名:2-3-2 課題3のファイル名:2-3-3 ファイル形式:jpg

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