日本刀関連

素人でも日本刀は研げるのか?

日本刀の研磨を素人でも出来るのか?というのは度々上がってくる話題です。ずっと昔から言われ続けていますが、定期的に見かけます。

素人でも刀剣研磨は出来るのか?についてまとめました。

大人しく研師に頼むべき

結論を先に書くとプロの研師に依頼するべきです。素人があれこれ手を加えてからプロに渡すよりも、何もせずにプロに渡してお願いしますといったほうが良いです。

素人が下手に何かやってからだと、最悪の場合既に取り返しのつかない状態になっていて同しようもない場合があるからです。

ちょっとした錆を落とすだけでも自分でやるのは避けたほうが良いです。どうしても気になるならそこだけ部分砥ぎを依頼して研いでもらうのがいいでしょう。

部分砥ぎなら費用も安く抑えられます。

素人でも研げないことはない

素人でも研げないことはないです。現在研師として活躍されている方達も最初は素人です。誰でも素人からスタートして、技術を磨いてプロになります。

なので素人だから出来ない、ではなく素人ががむしゃらに研ぐのは良くないと思っています。

ただ研師を目指す人でもない限りは道具が色々違っていたり、研ぎ方も違っていたりすることが多いです。サンドペーパーで研いでる人もいましたが、刀剣研磨で使うのは砥石です。

砥石を使って研ぐ姿勢であったりどの砥石を使うのかを判断できるようになれば、素人でもそれなりの研ぎが出来ると思います。

自分で研ごうとする理由

費用を抑えたい

そもそもなんで自分で刀剣研磨をしようとするのか?についてですが、その殆どが「費用が高いから」です。包丁なら研げるから刀もいける、みたいな発想で研ぐ人もいます。

ですが包丁と刀は全く別物なので包丁が研げても刀は研げません。

最初から研磨された刀を買うと時間も費用も総合的に見ればお得です。自分で研ぐのではなく、研ぐ必要がない(研磨済み)の刀を買うのが一番お勧めです。

時間がかかる

研磨にはかなりの時間がかかります。1振り研ぐだけでも早くて一ヶ月~と言われています。ですが実際には研師のところには依頼が多くきています。

待ち時間もあるのでその間は研師に預けるのが一般的です。おおよその納期で3年とかも普通にあります。つまり3年間は刀を見ることすら出来ないのです。

ですがプロの研師が研いでも最短一ヶ月なので、素人が研ぐともっとかかります。当然ながら時間をかけても良いものが出来るわけではないので、かなりのハイリスクです。

趣味として研ぐ

趣味として刀剣研磨をする人もいます。趣味として始める人の場合はある程度道具を揃えたり研磨の仕方を調べていたりします。

自分の刀は自分で研ぐというスタイル(鳴白がこれに該当します)もありますし、そういった人向けの砥石セットも販売されています。

趣味を極めてプロと遜色ないレベルに到達する人もいるので、一番研師に近い存在でもあります。最近は現役の研師が研ぎ方を解説している動画がYoutubeにもある時代です。

ブログで解説されている人もいますが、研磨の動きは動画のほうが良いので併用すると効果的です。

一番は現役の研師に弟子入りですが、元々オープンではない界隈な上にコロナ禍もあって難しくなってきています。

Youtubeもブログも情報発信系が一般的ではなかった時代だと弟子入りしかないですが、今は情報発信されているのでネットで学べる時代です。

それでも最終的には見てもらうのが一番ですが、始めやすくなったのは間違いないです。

研ぎ始めたら途中で辞めれない

刀剣研磨は研ぎ始めたら最後まで研がなければいけません。途中で辞めてしまうとすごく中途半端な状態で鑑賞すら出来ないレベルになってしまいます。

よくある「ちょっとやってみて、だめだったらやめればいい」が通用しません。ちょっとでもやってみたら最後まで続けなければなりません。

実際に研ぎ始めるとこんな感じになります。この刀は金剛砥で研ぎ始めたところで撮影したものです。ここで諦めるとこの研ぎ痕が残ったままです。

実際には切っ先の方にもかなりの研ぎ痕が残っています。錆もまだまだ残っています。まだ第一段階なのでこれから先は長いです。

この状態のまま鑑賞できるか?と言われたらさすがに無理でしょう。途中で辞めると値段が付かず売ることすら厳しくなります。

ちょっと試してみる、という気持ちで研ぐのではなく最後までやりきるという気持ちで研ぐ必要があります。

研磨途中で鞘に戻してはいけない

研師がよく研磨中の刀を鞘に戻さずそのままにしていますが、研ぎ途中の刀は鞘に戻せないのでそのままにしています。

刀剣研磨は刀を研ぐことであり、研磨するというのは「研ぎ減らす」ということです。なるべく減らさないようにするのが研師ですがそれでも減りを0には出来ません。

刀の鞘はその刀の形に合わせて作られているので、形が合わないと鞘当たり(刀身と鞘が当たって傷がつく)が起きやすくなります。

研磨の段階にもよりますが、ある程度研磨を終えた状態で新たな傷が付いてしまうとまた最初の方の工程からやり直しになります。

それを避けるためには研磨が終わるまでは鞘に戻さない事です。研磨を終えてから鞘も調整が必要であれば調整して完了となります。

実際、金剛砥で軽く研いだ写真の状態のまま鞘に入れてみましたが、研いだ部分だけ明らかに違う音がしました。こすってるような音と感覚があります。

お金と時間はかかりますが、出来れば研磨と同時に鞘も合わせてもらったほうが良いです。

終わりに

最初にも書いていますが、刀剣研磨を自分で出来ないことはないですが研師に依頼したほうが絶対良いです。

研師を目指すのなら話は別ですが、時間とお金と品質の面で間違いなくプロに頼んだほうがお得です。

それでも研いでみたい、という場合は残欠を使うとダメージが小さくて済みます。残欠は日本刀を折ったもので登録証が不要です。

仮に研ぎに失敗しても日本刀として扱われていないので研磨練習とかナイフ作りに使われたりしています。うまく研げたらナイフとしての再デビューもいいかもしれません。

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