カメラの基本的な設定の1つである、F値(絞り)についてです。
写真を撮るために最低限必要とされている設定は3つあるのは2-1でご紹介したとおりです。
今回はその1つであるF値について学びます。
最後に練習問題を用意していますので、実際に撮影してみましょう。
撮影したファイルを送信いただければ講師によるフィードバックも受けられます。
詳細は最後にまとめて記載していますのでそちらをご覧ください。
F値(絞り)とは?
まずF値(絞り)はカメラ側ではなくレンズ側の話になります。
F1.2やF2.0やF5.6のようにアルファベットのFと数字(少数第1位まで)で表されます。
F値は写真の明るさとピントが合っていない前後のぼけ具合に影響します。
よくある背景がぼけていて被写体や物は綺麗に写っている写真、あの写真を撮るためにはとても重要です。
このような写真です。
このF値が小さければ小さいほど、明るくてピントが合っていない部分がよくぼけます。
この写真ですと木にピントを合わせてあるので、後ろの風景がぼけています。
F1.2で撮影したものですので、かなりボケています。F1.2以下のレンズも存在していますが通常の撮影では使われることがなく、種類自体もかなり少ないです。
逆にF値を高くすれば写真が暗くなってしまうので、明るさを確保する必要があります。
暗い場所での撮影の場合は、できるだけF値を低くしたりライト等を用意して対応します。
実際にF値が低い写真と高い写真を見比べてみましょう。わかりやすく人物撮影で想定してみます。
カメラを固定して、F値だけを変えてみます。
F8にすると多少暗くなりますがそれ以外の設定値はあえて変えておりません。
F21.2の場合
F2の場合
比較してみましょう。スライダーを動かすと違いが見れます。
左がF1.2、右がF2の写真です。
[twenty20 img1=”2767″ img2=”2768″ offset=”0.5″]
明るさは全く違いますし、F2にすると後ろのソファーのデザインもはっきりと見えてきます。
この時の被写体と壁の距離は4.37mでした。壁から結構距離があります。
今回は1人ですが、これがもし複数人いる場合ですと後ろのソファーに座っている人がぼけてしまいます。
今回の場合ですとF2にして明るさを調整すればいいのですが、毎回明るさをちゃんと確保できるとは限りません。
F1.2等のF値の低い状態で2人いてどちらもはっきり写したい、という場合は横に並んでもらいます。
被写体が複数の場合は可能な限り横並びになってもらうと、人物ははっきりさせつつ綺麗に背景をぼかして撮影できます。
人数が多くなっても同じです。3~4人なら何とか収まる事が多いですが5人以上になってくるとF値を変えて2列になってもらう等が必要になってくる事が多いです。
より背景をぼけさせるためには
背景が綺麗にぼけるためには更に条件があります。
それは背景に何もない空間があることです。
公園とかで広々した場所とか、学校の長い廊下みたいなところがベストです。
広告とかでよくある綺麗に背景がぼけている写真を見てみると、背景がだいたいすごい広い空間なことが多いです。
例えば被写体の真後ろに壁があると、壁が全くぼけずに一緒に写ります。
壁からある程度離れたとしてもぼけにくく、壁だと認識できるくらいにはっきりします。
これはピントが合っている部分の前後にどれだけ広い空間があるか、がポイントだからです。
なので公園とかで周りになにもない広い場所でF値低めの開放で撮影すると、ものすごく綺麗に周りがぼけます。
それ以外にも第1章で学んだフルサイズ・APS-C・マイクロフォーサーズの違いによってもボケ具合は変わってきます。
センサーサイズが大きければ大きいほどよくぼけるので、フルサイズが一番ぼける機種と言えます。
望遠レンズを使うのも有効
その他にも望遠レンズを使うと圧縮効果が生まれて背景がよりぼけるようになります。
望遠レンズの場合はF値が多少高くても圧縮効果のおかげでぼけやすくなっています。逆に広角レンズですと相当F値が低くないとぼけてくれません。
それを踏まえて一番ベストなのはF値の低い50mm~85mm程度のレンズです。
標準~望遠寄りでありながらもF値の低いレンズもあり、距離的にも近すぎず遠すぎず使いやすいです。
望遠レンズですと150mmとか300mmとかになってくるので、人物撮影ですと結構な距離から撮影することになり場所を探すのが大変です。
広い場所なら使えますが、使いやすさも考えると背景をぼかしたいからという理由で望遠レンズを選ぶと結構苦労します。
F値がかなり低くて望遠レンズを選択すれば、最大限背景をぼかすことが出来ることになります。その反面、少しでもピントがずれれば人物もぼけるので注意が必要です。
F値を低くして撮影する時の注意点
これまでF値を低くして開放で撮影すると、背景がよくぼけるという話をしましたが注意点があります。
F値が低いというのは撮影した写真が明るくなることを意味します。
明るくなる、ということは白飛びや真っ白な写真になることもありえます。
昔のフィルム時代と違って今は写真を撮ったらすぐに確認できるのですぐに気付きます。
特に昼間とかで晴天時に撮影するとほぼ真っ白な写真とかになることもあります。
F値以外にも撮影時の設定はありますが、それでも限界があります。
とにかく開放で撮りたい、という気持ちはわかりますが場合によっては絞ったほうがいいこともあります。
真っ白な写真よりもちょっとぼけ具合は落ちるけども見れる写真の方が良いです。
また、被写体が複数の場合で2列3列と並んでいる場合は開放で撮ると後ろの被写体がぼけます。
ピントが合っている場所と横並びは大丈夫ですが、列になっているとピントが外れている部分がぼけます。
これが人の顔だとその人の顔が微妙にぼけてしまうのです。
特に集合写真とかを撮る場合はF値に注意しましょう。
多少暗くなってしまいますが、F値以外の設定とか機材を使って明るさをカバーすれば綺麗に撮影できます。
ただし背景のぼけ具合は諦めるしかありません。
F値を高くして撮影する場合の注意点
今度は逆にF値を高く、絞って撮影する場合の注意点です。
F値を高く絞っていくと段々と暗くなっていくので、写真が真っ暗になっていきます。
明るさの調整をしっかりしておかないと真っ暗な写真ができあがります。
そして一般的にF値の低いレンズほど高額になりやすく、F値の高いレンズほど安価です。
安いレンズを買うとF値が高いものが多くなるので、暗めの写真になりやすいのも注意が必要です。
大体は商品タイトルや説明欄にF値が記載されているので、購入前に必ず確認しましょう。
F値を高くして撮影するのは集合写真や風景写真に多いです。
集合写真は先程も触れましたが後ろの人の顔をぼけさせないためです。
列が増えれば増えるほどどんどん後ろの人の顔はぼけていくので、そうならないようにF値を高くします。
風景写真は風景全体を綺麗に写すことが多いので、どこかをぼけさせるのではなく全体をくっきりさせるのがポイントです。
ピントをすごい手前に合わせる、とかをしなければ多少は開放で撮っても綺麗に全体が見えます。
F値がどこまで高く出来るかはレンズによりますが、一般的にはF16~F22あたりまで上げることが出来れば問題ありません。
それ以上高く出来るとしても、殆どが明るさ調整用になります。
F値をぼけるかどうかだけではなく、明るさ調整を中心に考えて設定することも多々あります。
ただF22を使うことがあるか、と言われたらほぼ使わないので既に明るさ調整用になっています。
まとめ
F値とはどういったものか、最後に簡単にまとめました。
・F値は明るさとピントが合っていない所のぼけ具合に関わる
・F値が低いと開放、高いと絞ると呼ぶ
・F値についてはカメラ本体は関係ない。レンズで決まる
F値は撮影する上での必須項目の1つです。
趣味で撮影する場合でもプロとして活躍していく場合でも関係なく関わってきます。
最近はスマートフォンですらF値の設定画存在しているほど、身近な設定になってきています。
手元のスマートフォンでも設定があるかもしれないので、一度確認してみましょう。
練習課題
今回はF値に特化した説明をしました。
通常は3つの基本設定すべてを組み合わせて撮影するのですが、まずは1つ1つ覚えることが大事です。
今回学んだことを実際に理解できているのか、確認用として以下の課題をご用意しました。
課題の取り組み、提出は任意ですが提出することで講師からのフィードバックを受けられます。
課題1.背景をかなりぼかした写真を撮影してみよう
被写体ははっきりと写っていて、背景はぼけている写真を撮影してみましょう。
課題2.背景をぼかさない撮影をしてみよう
課題1とは逆に背景をぼかさないように撮影してみましょう。
課題3.被写体をぼかした写真を撮影してみよう
課題1または課題2と同じ配置で、被写体をぼかしてみましょう。後ろははっきりと見えるようにします。
課題の提出について
課題の提出方法はメッセージ機能を使って担当フォトグラファーにファイルを添付して送信して下さい。
ファイル名とファイル形式はそれぞれ以下に変更して下さい。ファイル名が異なりますとどの講座のものか確認出来ず再提出となる場合がございます。
課題1のファイル名:2-1-1
課題2のファイル名:2-1-2
課題3のファイル名:2-1-3
ファイル形式:jpg